朝、日が昇る前に寒さで目が覚めた。
「お~寒み~、まだ九月上旬だぜ~」
などと文句をぼやきながら寝袋の中で体を縮める。
日が昇り、いくらか気温が上がってきたので、寝袋から抜け出し、近くの公衆トイレに向へ。
トイレ正面に「湘南」ナンバーの車が停車していた。
「おっ、珍しい」ここが神奈川県なら全く珍しくもないのだが、ここは青森県の外れだ。
その車の横を通り抜けようとすると、乗っていた運転手さんと目があったので
「ずいぶん遠くから来たんすね~」
と話しかける。運転手さんは
「ずっと下で来たんだよね~」
とこやかに返えしてくれる。それがきっかけで会話が始まり、私が進もうと思っていた海岸線をずっと走っていく事が判明、ちゃっかり乗せてもらえる。(いつどこで乗せてくれる人が現れるかホントに分かりませんね)
この道は田舎を通るので「地元の人しか行かないだろうな」と思っていたから、ありがたい。
「なぜ、地元の人しか通りそうもない道に行きたかったかって??」実はこの道の途中には「岩崎村」というのがあったからなんですね。
町に入れば「岩崎郵便局」「岩崎駅」など「岩崎」だらけ。
「わっはっはー面白い」を連発しながら町を散策する。
岩崎村を一回りして、道に出てボードに「青森」と書いて高くあげる。
すると、わずか20秒で路肩に「危険」のプレートの着いたトラックが止まってくれた。
事故を起こしたらターミネーターの映画の様に爆発するのだろうか、少しスリリングだ。
その後も順調にヒッチハイクを続けたが、4号線の山の中で苦戦を強いられた。
交通量があるのに、1時間粘っても止まっても全く止まってもらえない。
山中だし「どうにか止まって!」と念を込めてボードを上げていると目の前を見覚えのある車が通り過ぎた。
振り返り目で追っていくと100メートルくらい離れたところでブレーキランプが点灯し車が止まった。
「やはりそうだ!」
荷物を置いてすっ飛んで車に走り寄る、車の助手席の窓はもう開いていて、午前中乗せてくれた松藤さんがニッコリ「また会ったね~」。
いやいやこちらこそ「たびたび」お世話になります。
太平洋側に着いた時はもう真っ暗
6時、八戸市に着いた時には空は薄暗くなっていた。「今日中に太平洋を見るぞ!」と決めていたので、薄暗い道路にボードを持って立った。
既に半袖では寒い温度になっているが、ドライバーに目立つようにと白いティシャツを着た。
15分も待たないうちにわざわざUターンでしかも、海まで乗せてくれて、最後は自分の帰路でない45号線まで乗せてくれるという親切過ぎる和美さん。
皆さんのおかげで、今日の目標通り日本海側から太平洋側に抜けられた。
ありがとう。太平洋側に着いた時は完全に日が沈み辺りは暗くなっていた。さて寝られそうな場所を探そう。