真夜中の洪水

今日の夜は、浜辺で寝て朝日を見ようなんて密かにたくらんで、浜辺に寝袋を広げ寝るとする。

韓国では4月なのにあたりで花火をしている若者がいる。

日本では花火は夏と相場が決まっているが、韓国は季節は関係ないらしい。

街灯の明かりの届かない暗闇に潜り込んだ。

疲れもありすぐにぐっすりと寝てしまったが・・・顔にポツポツと・・・・冷たいものが当たり目が覚める・・・「雨か・・・」。

パラパラと降ってきた、時計を見ると12時を回っていた。

何が嫌だって、野宿中の雨である、日本にいる時も雨で散々起こされたが、それはここでも一緒。

野宿の天敵「雨」、きっと野宿をする限り今後も幾度と無く雨に起こされるだろう。

慌てて寝袋をカバンの中に押し込んだ。

寝袋が濡れてしまうと、保温どころではなくなり寒くて眠れなくなってしまう。

それから「雨がしのげる屋根付きの場所を探さなければ!」と真っ暗な中を当ても無く彷徨う。

ついていることに屋根付きの建物を発見!夏場の露店用の小屋だろうか。

とにかくここは屋根付き、人目に付かず、風も入って来ず、言うことなし。

今までの野宿した所でも3本の指に入るほどの良い場所だ。

なかなかよい野宿場所が見つかったと思ったが
【写真】なかなかよい野宿場所が見つかったと思ったが

「こりゃいい所が見つかった」

「ここならグッスリ!!」と一人でつぶやきながら床に寝袋を広げる。

「ここだったら台風並みの大雨以外は全然オッケーじゃん。」と思い、再びすぐに寝てしまった。

たまに雨が天井に打ち付ける音で目が覚めるが「ここは安全」という意識からか、夢心地のまま寝続ける。

いい気持ちで寝ていると足の先がどうも水の中に突っ込んでいるような感覚がある。

「まさか!?」と思い暗闇の中、寝袋の足元の方を見ると何故か色が違っている。

「はて?・・・・」

と恐る恐る、手で触れると「グチャリ」とタップりと水を含んだ感触がする。

ぎゃーぁぁぁぁぁ!

日本語で叫び声をあげる。

水が入って来ている。それも少しではなく、「浸水」という言葉がピッタリとくるくらい、水が溜まっていて、寝袋が水に浸っている。

寝袋から足を引き抜き、跳ね起きた。

「何?これは?、どうして?」 と独りで声を張り上げるが、もちろん返答は無い。

聞こえるのは、雨が「ザー」と降る音だけ。

バックの中から懐中電灯を手探りで見つけ、明かりを灯す。

明かりに照らされた浸水部分を注意深く覗く。

よく見ると壁と床の隙間から水が屋内に流れ込んでいる。小屋は少々傾斜が付いていて、水が足元の方に溜まっていたのだ。

時計を見れば3時、外は真っ暗、そしてこの状況。

あれほど濡らさぬように気を付けていた寝袋は水浸し。

ホントに泣けてくる。

水は勢いを弱めずに流れ込んでくる。

おいおいまじですか~」と独り言を真っ暗闇で連発しながら、角に積み上げられていた電気コードの上に荷物を避難、本人もその荷物の上に座り込む。

真っ暗闇の中、上からの雨は防げるものの、下からの水にはやられっぱなしだ。

どうするも、こうするも出来いので荷物の上に座りほけること約1時間。

天井に叩きつける雨も弱まり、床の水もいくらか引いてきた。

しばらくするとあれほど溜まっていた水が完全に引いた。どうしても眠かったので水が引いたばかりの床に、しめった寝ぶくろを広げ、その上に体を丸めて横になる。

うーむ、我ながらすごい、こんなんで眠れるのか??」と思っていたが気がつけば寝ていて、次に目を明けると、外は明るくなっていた。

隅の電気コードの上に退避
【写真】隅の電気コードの上に退避

目が覚めたのと同時に外に出て、寝袋を干した。本日は生憎の曇り空で、寝袋の水分が飛ぶのを待つが、一向に乾く気配はない。しょうがないのでそのまま寝袋をバックに詰め込んで、いざ出発。

今日の朝食は賞味期限2年を過ぎた新宿のゴミ箱で拾った海苔。

賞味期限を大幅に過ぎていたが「せっかくここまで持ち歩いたのだから・・」と食べる。

1年以上持ちあるいたノリが食事となる
【写真】1年以上持ちあるいたノリが食事となる

「しける」を通り越して塊になっている海苔をかきこむ。「味は確かにのりだ」と自分に言い聞かせながら全部食べた。多分大丈夫、でなければ結果はすぐにでるだろう。

隅の電気コードの上に退避
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