凍る

テントを出した途端、朝露で濡れたままのテントが一瞬にして「バリハリ」に凍り付いた。

別に凍りついてもよいのだがチャックまでもが凍りつき、うまく動かない。

とにかくそれでもテントを作りいつもの様に荷物を放り込む、やっぱり凍りついたチャックの調子がよくない、ゆっくり力を込めて閉めたら、なんとか閉まった。

ズボン、上着をあるだけ全て着込んでそのまま寝袋に入った。疲れていたのと寒さで日記をつける気にはならない。しかしそのまま寝ようとするが、寒くて眠れない、いや、ほんと寒くて眠れない。

特に下から冷めたさが伝わってくる。腰のあたりが氷で冷やされているようだ、冷たい。

着ていないシャツを出して腰のあたりに敷く、ついでにタオルも敷いたが、そんなもので防げるものでなかった。シャツ、ズボンを突き抜け冷たさが伝わってくる、こりゃホントに眠れない。

9時近くに寝袋に入ったが、寒さでシャツを敷いたりなんだりしていて、ガタガタふるえていて12時を回っている。この間一睡もしていない。そしてこの時点で「早く朝が来ないかな」と思っていた。

極寒だったが凍死するとはないだろう、ガタガタと体を震わせていられるうちはまだまだ生命力がある、寝られないだけだ。

思い切って、寝袋にかけていたラオスの毛布を二重折りにして、寝袋の下に敷いてみた。するとさっきよりだいぶましになる。

直接触れて伝わってくる冷たさの方が強烈らしい、毛布の代わりにシャツを寝袋の上に掛けた。完全に眠れなかったがウトウトした、何度も時計に目をやる、長い長い夜だったが、次第にテントの外が明るくなって来た・・・・夜明けだ・・・。

明るくなるのを待って、すぐテントから飛び出た。一刻でも早くこことはおさらばしたい、寒すぎる、冷蔵庫の中いや、冷凍庫の中と一緒だ。

しかし景色は真っ白な雪山に囲まれ最高だった、でもホント凍る。凍る様な世界だったが、自転車は問題なく動くいた。ブレーキも足ブレーキなので問題ないぜ!ただ、靴の底と雪面の摩擦がないのでやはり効きにくい。

雪面の下り道から始まった。風を切り下っていく、やっぱり凍りそうだ、手が、手が手袋をしていてもそんなのお構いなしに冷たいし、痛い。

「凍傷ってこの状態が長いとなるのか?」

とか考える、耳などはパーカをすっぽりかぶっているので大丈夫だが、風を受ける顔面も動かせないほどこわばっている。

「とにかく下へ!!」

標高のが下がるにつれ、雪が姿を消していく、それに伴いこわばっていた顔面も手も動くようになってくる「ふ~」。

【写真】標高5000mで野宿、寒くて眠れず。
【写真】標高5000mで野宿、寒くて眠れず。

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