エベレスト登頂者

アツコさんの知り合いの知り合いという縁でエベレストの登頂者に会えることになった。

その登頂者は既にエベレストに3回登頂しているというのだ、すごい。

日本ではエベレストの登頂者に会う機会はなかなか得られないが、さすがエベレストを有する国である。実はエベレストの登頂者で一番多い国籍はアメリカでもイギリスでもなく、ネパール人なのだ。

「エベレストに登りたい」

と言う話をあちらこちらでしていたら、登山に詳しい友人がいるとか、トレッキング会社に勤めている知人がいると紹介してもらえた。しかし会いに行ってみると、大抵言われることは

「エベレストは難しい山だ、もう少し経験を積んだ方がよい」

とか

「出来るわけがない、やめた方がよい」

ということを聞かされた。しかし私は諦める気は全くなく、とにかく

「実際に登ったことのある人」

に会ってみたいと考えていた。エベレストの登山経験がある人なら、どのくらいの技術が必要で、どんなトレーニングが効果的かそういった「何が足りなくて」「何が必要であるか」など具体的な話が出来ると思ったのだ。

だから今日、登頂者に会えるというのは願ってもない機会だった。今日の今日までエベレストに登頂したという人には会ったことがなかった。今日の話の結果により、どうやってエベレストに向かい合っていいか少しでも道が切り開ければと思う。

約束の時間に待ち合わせしたタメル地区に向かった。待ち合わせした登山道具屋に着くと彼は既に来てた。仲介してくれた、ここのご主人が彼を「パサン」と言って紹介してくれた。彼もここの店の主人もシェルパ族の人で、顔のつくりは殆ど中国人や日本人とあまり変わらない。

シェルパ族と言うのは「東方の民」とか言う意味らしいけど、登山をする人の間では高所の登山ガイドとして知られている。ネパールに山岳部に居住するシェルパ族はその高所での身体能力を買われ、ヨーロッパの登山隊のポーターやルート作りに参加したのが登山ガイドとしてのシェルパの始りだという。

そして今日では、ヒマラヤ登山や8000mを超える登山にシェルパの存在は欠かせない。先に述べた、登頂者がもっとも多いのはネパール人であるが、その殆どがシェルパ族の人だ。

ネパールの甘いチャイを飲みながらパサンさんにエベレスト登山についての話を聞いた。

エベレストの登山期は年に春と秋の年に2回、春は登山隊が多く登頂率が高い、秋は雪が多く雪崩の危険があるということ。

ザイルワーク、雪原を歩くためのアイゼンワークが最低限必要。ここネパールに滞在して山岳技術を学べば登頂の可能性はなくはないということ。

しかし最も重要なのは本人が高所に向いているかどうかだそうだ。こればかりは高所に行ってみないと分からない。高所に弱い体質の人もいるそうで、そういう体質ならばエベレスト登山は難しい。そして高所に強い体質かどうかは高所に行ってみないと分からないということ。

それからエベレストの登山には、入山料やベースキャンプ滞在、酸素など多額の費用がかかること。などなど、エベレスト登山についてかなり現実的な話が聞けた。まだまだ先は長いが少しだけ希望の光が見えた。

【写真】エベレスト登山のガイドをしているシェルパ達。
【写真】エベレスト登山のガイドをしているシェルパ達。

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