10カスピ海横断編

それぞれの旅

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朝6時くらいだろうか目が覚めた。

今日は早起きする必要がないのに、なんとなく寝ていられないのだ。朝日はもうすっかり昇り辺りは明るい、水面の状態は最高に良く波ひとつない。

航海中の日々なら間違いなく漕ぎやすい日だっただろうと思うが、こんな波の状態も今日から無関係になるのだ。

テントで寝ていた山さんも起きている、山さんは今日テヘランに旅立って行ってしまう、いや、山さんだけでなくけい君もタトゥも今日旅立って行ってしまうのだ。

私は船が売れ次第、自転車を止めさせていただいているギラーン州の州都ラシュトに戻るつもりだ。

皆ももっと寝ているかと思ったら一人一人と起き上がる。

昨日船を買いたいと言っていたおじいさんは船着場で寝ているので本当に船を買う意思があるのか確認するのは簡単だ。寝ているおじさんにそっと声を掛けて船を買う意思があるか確認してみたら、やっぱり買う気があるようだ。

それにしては船の品定めもないし、お金を準備している様子もない、本当に買ってもらえるのだろうか。

9時を過ぎた頃、おじさんがバイクで出かけ黒いビニール袋を持って帰ってきた。あれは現金じゃないのかと勝手に想像する。

やはりそうらしくおじさんがお金を数え始め、そして手招きで呼ばれる。

おじさんからお金を手渡されて数えてみるとどうしても足りない、おじさんは気が付いているのだ、しかしそれで握手を求めてくる「まけてくれ」ということだろう。

こっちは売りたくてしょうがないし、相手は別に買いたいわけでもないので、この商売は相手が断然有利。そして私は売りたい一心だったのであっなくその要求を呑んだ。

これが、どっかのお店や、リキシャとの交渉ならば時間をかけただろうが。とにか船の今後の持ち主が決まったので私達は晴れて陸に上がれることになる。

当初は山さんだけが先に出発する予定だったが、みんなで一緒にこのバンダレアンザレを去ることができる。

ひと月以上一緒に過ごしてきた船とお別れするのはちょっと寂しい気もするが仕方が無い。物に魂があるのなら船の方は一人ぼっち置き去りにされてさぞ寂しく思っているだろう。

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