12ユーラシア最西端へ編

盗まれた自転車

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今日は先日路上で知り合ったホーキンスさんの家に呼ばれていた。

待ち合わせの2時に間に合うように向かう。スペインなのでそんなに正確でなくてもよいのだけど、わざわざ遅れることも無い。

ホーキンスさんの家はイサミ君のアパートから比較的近い。昨日教えてもらった通りに進むと簡単に見つけられた。時計を見るとジャスト2時。さてブザーを押すかというタイミングでホーキンスさんが玄関先に下りて来た。

案内されるままに建物に入り、すぐ右の通路の行き止まりに自転車を止める。ここは通りかも見ることが出来ない死角。いつものように前輪と後輪に鍵をかけた。そして我々はエレベータに乗り込み5階のホーキンスさんの部屋に。

ホーキンスさんは昔バイクでならしたらしく、トロフィーや盾がエンタランスホールにズラリと並べられていた。奥さんはいないらしい「自分はフリーマン」だとやたらに繰り返している。 「お昼に」とホーキンスさんが招待してくれたのだが、リビングにそれらしき準備は無い。「まぁ男の一人暮らしだからなぁ」。

「それじゃ作り始めるか!」とホーキンスさんが言う、つまり二人で作ろうということなのだ。ホーキンスさんは昨日のテンションに比べて今日は少し静かだ。

2人の共同作業で出来たのはクリームパスタ、男二人の割にはなかなか美味しく出来た。そして食後、ホーキンスさんが

「屋上からのセビリアの眺めが最高なんだ」

と言い出し、我々は屋上に向かうことになった。先にエレベーターに乗り込んだ私はつい間違えて「0」のボタンを押してしまった。「あっ、間違えた」と慌てていると、ホーキンスさんがすぐに7のボタンを押した。しかしエレベーターは下方が優先されるのか、ドアが閉まるとエレベーターは下る。日本で言う一階へ。

「チン」という音と共にドアが開く、ホーキンスさんが開いた扉から頭を出し

「自転車はあるよね」

と言いながら自転車の止めてある方の通路を覗き込んだ。もちろん私もあるものだと思ったので「OK,OK」の繰り返しかと思ったら、一瞬彼の動きが止まり、そしてエレベータの外に飛び出た。

「No!」

と彼は驚いた表情で小さく、声をつまらせながら言う。「えっ?」すぐにその行動の意味が分かった、あるべき場所に自転車がないのだ。

しかし少々邪魔な所に置いたので「誰かが移動したのだろう」と、私はそんな深刻に受け止めず

「そこらに移動されているのじゃないですか?」

と言いながら私もエレベータの外に出た。確かに自転車は止めた場所にない。ホーキンスさんが大扉を開けて外に出る、続いて出た私に彼は

「向こう側に行って!」

と指示を出し、自分はその反対側に向かって走り出した。とにかく盗まれたらしい?まだ盗んだ犯人がこの近辺にいるかもしれないということなのだろう。この時点で私はまだ盗まれたという感覚はなく「どこか別の所に置かれているのでは?」ないかと悠長に構えていた。

アパートの建物が終わる所まで小走りに行ったが自転車の姿も形もない、自転車を抱えている人もいない。見える範囲に無いということは、もうどこかに持ち去られたのか。鍵は2つしているので持ち上げて運ぶ以外にないだろう。

アパートの前に戻るとホーキンスさんも戻ってきていた。当然犯人を見つけたなら手ぶらではないが、ホーキンスさんは手ぶらだ。「きっと誰かが移動したんじゃないですか?」と再び伝える。

「そこに警備の人の部屋があるけど、今はいないよ、5時までは来ないと思う」

と彼は言う、それから「少し待ってて」とその場を去り、手に鍵束を持って戻って来た。それでアパートの入り口の隣の灰色の扉を開く、そちらは駐車場につながっていて、そこには自転車が数台止められている。

その自転車の中にあるだろうか?自分の自転車は一目見ればすぐに分かる。しかし見当たらない、もし警備の人が邪魔で自転車を移動するとしたら、ここだろう。しかし無い。この時から自転車を盗まれたという実感が湧いてきた「本当に盗まれたのかも」と思い始めたのだ。

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