15 イタリア回遊編

酔っ払いに縁のある日

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今日は酔っ払いの親父に声をかけられた

「ウチにきてマジックをしてくれ」

と言われたので断ったのだが、今度は

「バーに来てマジックをしてくれ、すぐそこだ」

というので着いていってみることにした。ちょうどよい時間だったのであまりここを離れたくなかったが、「バー」と言うのと「すぐ近く」と言うので行ってみることにした。後から考えるとこれが失敗。酔っ払いのいうことを信用してはいかん。

連れて行かれた所は、黒人がたむろしている、明らかに荒廃したバーだった。

入り口の雰囲気からして、既にやばい、入るのを躊躇する。黒人が4,5人入り口付近に座っていて、一斉に私に「ギロリ」と視線を注ぐ、そこに全くニコヤカさやフレンドリーさは無く、

「何しに来たんだ?」

という無言の言葉が放たれている。先ほどの酔っ払いの親父が、

「おい、中に自転車を入れろ」

と言う、確かにここに自転車を放置したら30秒で無くなりそうだ。その指示に従って自転車ごと中に入れようとしたら、中にいた黒人の店員が

「自転車を出せ!」

と怖い顔で私に言う。

「そりゃごもっともで」

と驚いて自転車を出すと、今度はよっぱらい親父がまた

「中に入れろ!」

と言う、黒人が怖いのでどうしたものかと思ったが、酔っ払い親父がどうにか話をつけてくれたらしく、黒人の店員が折れた、「酔っ払いの勝ち」。

自転車を中に入れ壁に立てかけ、親父が

「ここだ、ここでやれ」

とろれつが回らない口調で言う。店内を見渡すと黒人のお客が7人ほどテーブルに腰掛けて会話をしたりテレビを見つめたりしている、どうやらここはマルタで暮らす黒人の溜まり場なのだろう。既に帰りたかったが、親父が「やれ、やれ」しつこいので渋々と手品を始めた。

開始したが店の中にいる黒人の客は誰も見ていない、見ても集中力がないのか、違うことを話しているのかうるさい。

見ているのは親父とその隣の2人の黒人だけだ。紙をお金に換えたら「これを頼む」とごく自然に紙を差し出すので、それを5ユーロに変えたら「よこせ!」といきなり真剣に言う「だめだ」と言うと「なんだと!」みたいな雰囲気になった、最悪だ。

今までに無いパターンだ。しかし雰囲気悪すぎ、そんなギラギラの目で手品を見ちゃいかん。

「もうやだ早く帰りたい」

と思い矢次に進めて終わりにする。すると先ほど自転車を入れてはだめだといった、黒人が手に何かを隠し持って来た。何をもっているか、木の葉か紙を持ってきて

「これをお金に換えてくれ」

といつものパターンかと思った、手品が終わると「手を出してくれ、これをやる」と言って先ほどから手に隠し持っているものを私の手のひらに乗せた。手の平に注がれたものをみて、驚いた。

砂だ。それもタダの、いや、花壇か何かの汚い砂で砂の中に色々なものが混じっている。

それを手の平に乗せられたのだ、「なんだこりゃ~ひぃぃぃぃ!」と思うも、冷静を装い

「で、これをどうしろと?」

と言うと

「これでマジックをしろ」

と真剣な眼差しで言う。「怖ぇぇぇ」し意味が全く分かりません。

何かやばいブラックマジックと混同してない?人の手の平に外の汚い砂を乗せるか?、しかも彼は手品の後半ずっと隠し持っていたかと思うと不気味だ、思考回路がどうなっているのかが知りたい。

ここの黒人の彼らはどこの国から来たのかはどこから来たのか分からないが、アフリカが皆なこんなのだったら、手品は怖すぎてできない。

酔っ払いの親父も砂には驚いたらしく、口をあんぐり開けっ放しにしてびっくり顔をしている。

こんなところには一秒もいたくなかったので自転車を取り早々に立ち去ることにした、なんだかたまらん。全く理解の範疇を超えているので怖い。本当に「なんだか怖い」という表現がピタリだ。

恐怖のバーから無事に出られただけでよかった。ああ生きているって素晴らしいと青い空を眺めた。そして先ほどの手品の場所に戻る。するとまた違う酔っ払いに声を掛けられた。

今度の親父は見たことがある、赤いシャツで髭もじゃ。先ほど手品をしている場所の正面のバーの二階から覗いていた親父だ。何を言い出すかと思ったら

「1ユーロ貸してくれ、ビールを飲むんだ」

と言い

「今日は金を忘れたから明日返す」

と続ける、あほか。だったらなんであんたバーにいたんだよ。バーの友人から借りなさい。私は今恐怖体験をしたばかりでとてもお金を貸す気になれません、というか

「この器を見ろ!」

80セントくらいしか入ってないだろうが!と器を指差すと、

「それもそうだな」

妙に納得した顔をして立ち去っていった。普通、路上で芸をしているやつからお金を借りるか??

今日はつくづく酔っ払いに縁のある日だ。

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