15 イタリア回遊編

謎のメール

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ローマに着く前に、少しおかしなメールを受け取った。

差出人はドゥセンという人だと分かるのだけど、文の内容が少し意味不明だ。一番初めにこれを受け取った時は「いたずらメール?」とも思ったのだが、日付と地名、差出人の名前が入っていたので「何のメールか?」と返信したら、再び返事が来た。英語で語順や文法が不自然で変なのだが何となく意味が分かる。

直訳すると

「自分は今ローマに来る道にいて、あなた自身はどこであるか?」

とそんな内容なのだ、文中に「ケイイチ」と私の名前が書いてあるから不特定多数に出しているジャンクメールではなさそうだ。このメールに返信すると

「明日12時コロッセオ私自身に会う、モバイルなし」

というえらく短くて変なメールが返ってきた。要するに「明日の12時にコロッセオで会おう」という意味らしい。

「コロッセオ」と「時間」が指定してあるので約束の時間に間に合うようにコロッセオに向かった。相手は私は分かるのだろうか、私は相手が一体どこの誰だかも分からないから相手に探してもらうしかないのだ。などと思いながら自転車をこいでいると、4車線の反対側から手をふる男がいる。やたらに車体の低い自転車をこいでいる。

「誰だあれ?」と思ったが、「まてよ、あれがドゥセンか!?」まだコロッセオの随分手前でこんな路上でよく私を見つけたものだ。

行き来する車の合間を縫って道路を渡ると。変形自転車の男は自分を指差しながら「ドゥセン、ドゥセン」と繰り返した。私も「ケイイチ」と名乗ると、男は「おおっ!!ケイイチ!」と感激している。なんだこのやり取りは。

すぐに分かったのだがドゥセンは英語が全く話せないのだ。本当に全くと言っていいレベル。恐らく「サンキュウ」「ハロー」「ワン、ツー、スリー」くらいしか分かってない。ローマの大都会にいるのに、ラオスの山奥の民族に出会った時みたいに身振り手振りでの会話を始める。

これほど英語の出来ない人も珍しい、どうにかカフェに落ち着くと、ドゥセンがおもむろにカバンからコンピューターを取し、電源を入れ、何か画面に向かってタイプをし、それを私の方に差し出す。出されたままに画面を覗くと

「こんにちは、私はドゥセンで、スロバキアから来ました」

と英語で表示されていた。「おっー、これは翻訳機の役目をしているのか?」と私もコンピューターに向かって英語を打ち込むと、今度はスロバキア語になってドゥセンに伝わる。お互い目の前にいるのにコンピューターでチャットをしているみたいで面白い、しかし能率が悪くて大変だ。

ドゥセンはスロバキアを出発しスペインを目指し、ポルトガルまで行き、スロバキアに戻るという話しをしてくれた。私のことはホームページで知って、近くにいるので連絡をくれたというわけだ。しかし英語が話せないのでスロバキア語を英訳したものを直接メールで送っていたというのだ。

道理でヘンテコで不自然な英語だったわけだ。

これだけ英語を話せない旅行者も珍しい、ドゥセンの行く手が少し心配だ。

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