三輪車とナゾの三人組

滞在しているキャンプ場に不思議な3人組みがやって来た。

 3人とも自転車で一人は車輪が三つある見たことも無いよう奇妙な自転車に乗っている。

 3人組の構成は白髪の白人男性、少しアジア人っぽい年配の女性、20代の若い白人男性という組み合わせ。

 簡単に推測すると、両親とその子供という組み合わせなのだが、若者の顔は100%西洋人に見える。自転車旅行者なので話しかけたいところだが、きっかけがないと中々会話は始まらない。

【写真】見たこともない三輪自転車。
【写真】見たこともない三輪自転車。

「まぁそのうちきっかけがあれば」と思っていたら、3人組の女性の方から勢いよく話しかけてきた。

「あなたも自転車で旅行しているの?」

と英語だ。「そうです」とニコヤカに答えるとそれから会話が始まる。

かいつまんで話すと、3人は家族でも何でも無く、インターネットで知り合って一緒に旅行しているそうだ。出発地点はドイツのハンブルグ、ゴールはギリシャのアテネ。何でも出発当初は5人いたのだが途中で二人とは別行動になったらしい。理由はあえて聞かなかったが、自転車で一緒に旅行するとペースがあわなかったり、行きたい道が違ったりと考えられるだけでも色々とある。

 一番元気よくこちらに話しかけてきたのはサラさん。英語の名前なのだが、出身はタイ。アメリカで働いていたのでサラという英語の名前を使用しているのだそうだ。先生をしていたらしいが、それをやめて、家や車を売り、自転車の旅行を始めたという。既にアメリカ横断、アメリカの東西海岸縦断を走行、ヨーロッパを走り始めたところ、インターネットで彼らと知り合い、一緒に走ることにしたという。

 タイ人の自転車旅行者に出会ったのは初めてだ、しかも女性とは驚いた。しかしサラさんの積極的な姿勢と物怖じしない態度を見ていると「この人なら大丈夫」と納得してしまう。

 奇妙な3輪自転車に乗っていたのはイギリス出身のキースさん。既に仕事をリタイアして悠々自適生活を送っている最中にこの自転車旅行に興味を持ったらしい。

 テントも出発二日前にそろえたのだとか。気になるこの3輪の自転車だが、三つ目はただのリヤカー的車輪。前二輪の負担を軽減するためだそうだ。リヤカータイプの自転車で旅行している人は何度も見かけたことがあるのだが、全く前二輪と同サイズのリヤカーは始めてみた。

 キースさん曰く、最新モデルとのこと。

「乗り心地は?」

と訊ねると「是非乗ってみてくれ」というので試乗させてもらう。荷物を搭載してもそれほど牽引している感はなく、自転車も安定して走行できる、ただやや小回りしにくい。利点は今までの小さいタイヤのリヤカーに比べてタイヤが大きい分、路面の凹凸を拾いにくいということだろうか、それからいざという時タイヤの予備になりえるとか。

3人目は20歳のクリストファー君、ドイツ出身。彼の友人がこの自転車相乗りを企画したらしい。しかしその企画した友人は、今は別行動しているとのことだ。学生さんで休みの間自転車旅行をしたいと思い、参加したのだとか。

 時間があればギリシャからトルコに向けて走ってみたいという。彼らの中で一番若いが、地図を持ちナビゲーターの役割をしているとのことだった。

3人は翌日出発して行ったので「よい旅を!」と言って見送った。

不思議な組み合わせである3人の旅行程を考えるとなかなか楽しそうだ。インターネットが普及した今、彼らの様な国籍を超えて集まり一緒に走るということが可能になるのだ。

【写真】ネットを通じて知り合い集まった3人。
【写真】ネットを通じて知り合い集まった3人。

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