路上のルール2

各自が勝手に演奏や演じている様に見える路上にも暗黙のルールが存在する。

基本的なルールは二つ。「先に来た方に優先権」それから「相手との距離を一定に保つ」というものだ。路上で演じている人はこれらのことを守るというか意識しなければならない。

路上で演じ始めた頃は分からないかもしれないが路上で過ごす時間が長くなるとこういったものが見えてくる。初は知らなくても路上の芸人達と接している間に嫌でも学ぶことになる。

例えばいつもの場所に行くと既に誰かが演じている、そこで「ここは私の場所なのだ」と主張したところで、道は公共の場所である。誰それのものというのはない、そこで「早いもの勝ち」という暗黙の了解が分かってくる。

【写真】暗黙のルールがある路上の世界。
【写真】暗黙のルールがある路上の世界。

芸人が多いが、演じられる場所が少ないという都市や街では交代制も時々見かける。大掛かりな芸をする人は「ワンショー(一回の演技)」で交代したり、または2時間で場所を譲るというもの。この2時間というのも適当で、場所によって違い、ローカルルールがあるので地元の芸人から聞くのが一番。

「他の芸人と距離を保つ」というルールも確かにある。芸人同士の距離が余りに近いとお互いに影響しあってしまうのだ。音関係は特にお互いの音が混ざらないほどの距離を保つ必要があり、混ざるとお互いにマイナスになるからだ。

音以外の芸でももちろん距離は大事だ。

 ある程度の距離を保たないと、お互いに観客を引っ張りあってしまい、演技の途中でも輪が崩れることがある。せっかくよいところでも他の輪から拍手が聞こえたりすると、そちらに引っ張られる人も出てくる。それはお互い様で、こちらの拍手が相手の観客を引っ張ることもある。

そう考えて芸人達は演じている人からある程度の距離を置く。こうしないと「近すぎる」とか「音がかぶる」とか場所問題と一緒でもめる原因になる。

しかしどんなルールがあったところで路上は「弱肉強食」の世界でもあるので、やはり面白いところに人が集まり、退屈なところには人は止まらない。

人が集まるところには「何してるんだろう?」とまた人が集まり、止まらないところにはとことん人が止まらないという、ある意味資本主義そのままである。

思うのは人の拍手の音、笑い声ほど他の人をひきつけるものはない。そりゃそうだ、街角で拍手が聞こえて人の楽しそうな声が聞こえたら、「えっ何々?」と近づきたくなる。つまり拍手してもらえ、人を笑わす芸が出来ればそこには人が集まってくる。

【写真】拍手と笑い声が人をひきつける。
【写真】拍手と笑い声が人をひきつける。

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