訪れた国の印象は出会った人に大きく左右される。
その国で出会った人が感じのよい人ばかりだと、感じのよい国にになり、逆に「なんだ、なんだ」と思うようなことが多ければ「なんだこの国は」という印象になってしまうこともある。
まったくもって旅行者個人の国の印象なんてものは主観的なもので「あてになんねぇな」と思いながらペダルを漕いでいる。個人の印象だから別にそれで問題ないのだけど。
今回はその国の人との出会いの他にも主観に大いに影響を与えるものがあるという話。
実はその国に入る前の国の影響は結構大きい。日本で生活していると日本的なものに囲まれているので、国外に行ったときの感覚は「あっ、ここが日本と違う」である。
比較の対象は日本になるのだが、バックパッカーなどで1つの国に長いこといるとその前の国のスタイルがいつの間にか自分の主観に影響を及ぼしてしまっていて、新たな国に入ると
「うわっ、ここが前の国と違う」
というところが目に着くようになる。
それを最初に感じたのはもうずいぶん前のことである。韓国から中国に入るのと、ラオスから中国に入ったのでは印象がだいぶ違った。
韓国から中国に渡ったときは「ずいぶんとゴチャゴチャとしているな」という感想だったのだが、ラオスから中国に入ると「うわっ、活気に満ちているな。店に並べれている品数が多い」という感激だった。
韓国から比べると混沌さがイメージに残ったがラオスは山岳部のひっそりとした国だったので中国の活気が目についた。
現在クロアチアに入ったが、南部のモンテネグロからの入国と、北部のスロベニアからの入国ではだいぶ印象が変わった。
モンテネグロからのクロアチアは一段とヨーロッパのイメージに近く、近寄りがたい雰囲気があり「これがヨーロッパなのか」と思ったのものだ。
しかし今回イタリア、スロベニアを通過して入ったクロアチアは何だか少し田舎で素朴な国に見える。
人々の印象すらそうだ。モンテネグロの人に比べてずいぶんと距離があるように見えたのだが、今回はやたらに人との距離が近いように感じる。
接する人がこっちの領域に踏み込む距離が近い。おそらく西欧では感じなかった人の距離だ。
長くなってしまったが、結局その国の印象は前にいた国によりいくらでも影響をうけるということなのである。