ブーラ

地図を加工して張り付けるのが手間なので、そのままグーグルマップを貼り付けます。最初からこうすればよかったという説もありますが。(左上のズームボタンを押すと地図がズームします)

宿の恰幅のよいおかみさんが「明日はブーラかもしれないね」とぽそりとつぶやいた。「えっブーラって?何?」となるところなのだが、イストラ半島を走行中に「ブーラとは台風の様な風」と聞いており、既に知っていた。いよいよ「ブーラ」と遭遇か。

 アドリア海の北部では冬になるとブーラと呼ばれる凍てつく強い風が吹き荒れる。これはクロアチアのアドリア海の沿岸に沿って伸びているディナルアルプスの冷えた空気が海に流れ込む気流。地元の群馬県にも赤城山から吹き降ろす「赤城下ろし」というのがあった。小学校への通学路で冬の間は冷たい風が吹き荒れていたのをよく覚えている。冷たい乾燥した風で「上州空っ風」とも呼ばれ、「義理人情」と「かかぁ天下」と共に群馬の名物になっていた気がする。

 話は戻って、ブーラは群馬のローカル風と違って、国を越えてかなりの広範囲で吹き荒れる。以前滞在していたイタリアの東端の町トリエステでもボーラと呼ばれる烈風が吹くとされていた、ボーラはイタリア語のブーラ。

 ブーラの恐しさはその突風の強にある。ブーラが激しく吹き荒れるときにはアドリア海沿いの道は車のハンドルが取られて危険なために通行禁止になったりするそうだ。赤城下ろしがどんなに吹き荒れても通行禁止になった記憶は無いから、相当に強い風なのだろう。調べると強い時には秒速40m/sというから巨大台風の暴風圏並みの風が吹くことになる。

 幸いブーラは北東から吹いてくれるので南に向かう私の背中を強力に推してくれている。「こりゃありがたい!ブーラ大歓迎!」と調子にのりながら自転車を飛ばしているが、内心「風向きが変わると大変なことになりそうだ」と少々心配もしている。

【写真】黄昏の港にブーラが吹き抜ける。
【写真】黄昏の港にブーラが吹き抜ける。

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