遺跡を見て思う

現在、滞在しているクロアチアのスプリトは世界遺産に登録されている。

海沿いの街の何が世界遺産に登録されているかというと、あの世界史の時間に習ったローマ帝国の皇帝ディオクレティアヌスのが住んでいた宮殿があるからだ。

世界史の授業にはコンスタンティヌスとかコンスタンティノポリスだとか、フンダラカンダラと長いカタカナの名前が出てきて、先生が「これを試験に出すから」と言うと、こんな脈絡の無い名前が覚えられるかとぶつくさ言ったものだ。

しかし旅行を始めてから「世界史をもっと勉強しておけばよかった」と常々思う。その度にメガネを掛けた歴史の先生が頭の中に登場しては「ほら見たことか」と呆顔をしている。先生が頭の中に現れると「そうでした、そうでした、授業中に隠れてマンガを読んでいる場合ではありませんでした」と反省している。

【写真】遺跡には重ねてきた歴史がある。
【写真】遺跡には重ねてきた歴史がある。
思い返せば通過してきた国々には積み重ねられた複雑な歴史があったはずだ。アンコールワット目の前にして「かき氷が安い!」とか、タージマハールを訪れて「入場料が高い!」とか文句を言っている場合ではなかった。

遺跡にしても、歴史を知らなければ、それはただの古びた石の置物。しかし、それがどんな時代にどういった目的で誰が作ったのかを知ると、そこにもう一つ自分の想像力からくる感慨が加わる。

そうだこれも歴史の先生が言っていた「歴史は5w1h」だとか。

5つのWは「when(いつ)」「where(どこで)」「why(なぜ)」「who(誰が)」「what(何を)」で一つのH「how(どのように)」だった。そんなものを吟味しながら遺跡を見たら、さらに想像が膨らむ。

実際、この目の前にした宮殿跡も何も知らなければずいぶん大きな遺跡だなとしか思えないけれど、あの地中海の沿岸からトルコの端までを統治した大ローマ帝国の皇帝がその退位後に住んだ住居だと考えると「この大きな宮殿は当時の勢力をよく表している」などと一味違ってくる。

巨大な石が寸分たがわずに正確に詰まれた城壁を見ながら、この石はどこから運ばれたのか?とかこれを完成させるのにどのくらいの歳月と人を費やしたのか?また誰がこれを皇帝に頼まれて設計したのか?なんでまたこの場所を選んだのか?などなど興味は尽きない。

歴史や地理などに興味がある人が旅行をしたらきっと世界はもっとずっと広く、深いものになるはずだ。

これを見ている中高生で「将来旅行をしたい」と考えている人がいたら歴史や地理を勉強しておくと、更に旅行が面白くなるのは間違いない。と老婆心ながらに言い今日の文章を締めくくりたい。

【写真】この精巧な石の建造物、当時の建築技術に驚かされる。
【写真】この精巧な石の建造物、当時の建築技術に驚かされる。

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