15 イタリア回遊編

離婚のない国

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イースターの連休は中頃を過ぎてから天候が回復し、どうにか路上に出られた。

連休が明けてから、路上で何度か顔を合わせたダルコさんが

「一杯飲みに行こう」

と誘ってくれたのでホイホイと行くことにした。待ち合わせは雨が上がったばかりの旧市街。街灯の明かりが濡れた路面に鈍く反射し、空気が澄んでいる。

ダルコさんに会うと、今日は後二人来るとのこと。一人は以前彼と一緒に手品を見てくれた神父のべトラさん、そして今日始めて会うマリオさん。

ダルコさんが先頭に海沿いの遊歩道をゆっくり歩き始めた。海の方から穏やかな風が吹き抜けていくが、もう冬風のような冷たさはない。

3人はよく会っているらしい仲良し組み。そこに見ず知らずの私を迎えて貰って光栄だ。歩きながらダルコさんの話を聞いた。彼とは今日まで何回か話をしたが、素性は知らない。いつも路上で私の姿を見つけては話かけてくれる。

聞くとダルコさんはマケドニアの出身だがクロアチア人と結婚し、今はスプリトの街に住んでいる。今度二人目の子が生まれるとのことだ。仕事は警備員、そう言われると確かに締まった格好のよい体系をしている。格闘技が好きで、特に空手は最高と絶賛する。「なぜか?」と訊ねると、昔習っていて、ダルマチア地方(南クロアチア)の大会で2回優勝したのだそうだ。

それから日本の「ブシドウ」という誇り高い魂が素晴らしいと褒めてくれた。私が「現在の日本にサムライはいないよ」と言うと「それらの魂が日本人には流れている」という。ずいぶんと日本びいきだ。今の日本を思うとサムライの気高さや潔よさからずいぶんと離れてしまっているような気がするが、どうなのだろうか。

それから3人の行きつけらしい店に入った。地元の人が好みそうな、観光地から少し外れた細い路地脇にあるひっそりとした店。

席にやって来た店員にダルコさんと私はビールを、マリオさんは白ワイン、神父のぺトラさんはお茶を注文した。

運ばれてきたビールを少しずつすすりながらダルコさんの奥さんの話から、太陽発電のことまでとめどなく話していた。印象に残ったのはキリスト教の話だ。

ぺトラさんが神父なだけに話が広く、深い。それを物腰柔らかく、熱心に、粘り強く語ってくれる。映画やドラマで見た神父さんのイメージそのままだ。

中でも印象深いのは結婚と離婚の話。

クロアチアはカトリックの国で一度結婚をすると離婚は認められないという。正確には政府、書類上は離婚は認められるらしいのだが教会が離婚を認めないと言うのだ。

それでは別れたいと思ったカップルはどうなるのか?

聞くと夫婦は最初から結婚していなかった、どちらかが神に対して嘘をついていたことにするのだそうだ。それをカトリック総本山のバチカンで審査してもらってやっと離婚というか別居ができるという。最初から結婚していなかったという話になるので離婚とはならない。とにかく神の前で結婚は生涯に一度だけ、離婚は存在しない。

イタリアでも聞いたが厳格なカトリックの国では、私が考える以上に宗教が生活に及ぼす影響は大きい。

【写真】海沿いにたたずむスプリトの教会

【写真】海沿いにたたずむスプリトの教会


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