アドリア海の真珠

あきれるほど美しい海岸沿いの8号線を南下して「アドリア海の真珠」と称されるドブロブニクの街に到着した。

アドリア海沿いの街はどこも中世以前の歴史があり、遺跡的建造物が数多く残っていて見ごたえがあったが、このドブロブニクはさすが「真珠」の称号を貰うだけあって、中でも群を抜いて光っている。

【写真】アドリア海の真珠と呼ばれるドブロブニクの街、完全に城壁に囲まれている。
【写真】アドリア海の真珠と呼ばれるドブロブニクの街、完全に城壁に囲まれている。
 ほぼ完全な姿を保っている堅牢な城壁、そしてその内部にキッチリと納まった旧市街。手入れの行き届いた建造物。少し高台から覗くとオレンジ色に統一された屋根が美しく、中世の街並みを歩けば白い石畳は太陽の光を反射して街を一層輝かせる。

ドブロブニクは城壁の中に納まっているが城内の土地に高低差があり階段が多い。その高低の差が旧市街の街並みをより趣のあるものにしている。迷路のように入り組んだ細路地を歩けばまるで中世の時代にトリップしてしまったような感覚に陥る。

【写真】城内の高低差が景観にアクセントをつける。
【写真】城内の高低差が景観にアクセントをつける。

更に街が透き通る海に囲まれているとなれば、もう文句の付け所がない観光地だ。

【写真】さらに周りは透明度の高い海。
【写真】さらに周りは透明度の高い海。
ドブロブニクはクロアチアの南端に位置し、アドリア海もここまで南下してくると太陽光線が一段と強い。4月の終わりはまだ春だろうがここはもう初夏である。

ピレ門と呼ばれる旧市街の入り口の門をくぐり抜けるとパッと目の前に広がる中世の輝く町並み。チェコのプラハなども中世を彷彿させるが、少し影のある雰囲気。逆にここは町全体が白く明るい。海に囲まれているせいもあるが雰囲気が淀んでいない快活さがある。

そして何より驚いたのは観光客の数。

【写真】無人地帯から一気に人間社会に戻った気分になる。
【写真】無人地帯から一気に人間社会に戻った気分になる。

 コルチュラ島やペリシャツ半島を走行してきた私にはどこか別世界に迷い込んだのかと思うほどの人、人、人。自転車を持って歩くのが大変なほどの混雑だ。しばらく滞在していたスプリトの街も世界遺産で観光客が多いはずなのだが、ここは比べ物にならないくらい観光客が多い。服装がもはやみな夏の格好で、半そで、ノースリーブ、短パン。

「うおっ、すごい!」 思わず言葉が漏れる。無人の島や半島を巡ってきた私には信じられない刺激的な光景だった。

早速自転車を止めて手品を始める。練習のつもりだったが人がすぐに足を止める。「はっ、早い!」。「赤い彗星か?!」(ふっ、古いし意味不明!)

芸もよいし、街並みも美しい、こりゃまた滞在が長くなりそうである。

【写真】今にもキキが飛び出しそうなオレンジ色の屋根々。
【写真】今にもキキが飛び出しそうなオレンジ色の屋根々。

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