夏の夜長

マサさんと話を始めると、話が途切れることが無かった。

話題があがるとマサさんがうまい具合に合いの手を出してくれ、、話を膨らませてくれる。話のジャンルも移民問題から80年代のプロレスの話と全く脈絡なく続く。

こちらは安ビールの500ml缶が70円ほどで買えるので、お互いにコップにビールを差しつさされつ、こちらも止まることなく進む。

今回マサさんがイタリアの南部にやって来て驚いたことの一つに「人々が夜遅くまで出歩く」というのがあった。そうなのだこちらにいるとついその習慣に取り込まれて「意識」しなくなってしまうけど、日本から見たらこれは明らかに変わっている。

日本でも9時過ぎに若者や中年男性が飲み屋街を歩くというのは見るかもしれないが、ここのはそれと少し違う。

若者ももちろんいるけど、家族連れ、熟年のカップル、老人と老若男女問わずに歩く。日本ではお酒の入った上機嫌の人も見かけるが、そういう人はあまり見かけずに、散歩をし、路上で友人や知人の顔を見かけては挨拶をしたり、談笑したり。

我々にとっては確かに不思議な習慣である。しかしここに住む人にしてみれば、小さな頃から夜散歩をするのは当たり前のこと。

それからマサさんは散歩している人がすぐに芸に足を止めることにも驚いていた。

確かに路上の芸に足を止める率が高く、そしてシッカリと見る。チラッと見て、サッと通り過ぎていくのではなく、ピタリと足を止めて音楽なら聞き入り、演技なら見ていく。

ゆっくりと夜風に吹かれて散歩をしながら、路上で友人と語らい、芸を見入るというのはゆったりとしていて余裕があるように見える。

イタリア南部レッチェの夜は長い。

【写真】イタリア南部の夜は長い。写真はお祭りの日。
【写真】イタリア南部の夜は長い。写真はお祭りの日。

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