会心の日

 以前、芸を続けていると「会心の一芸」が出るという話をしたのだけど、今回は会心の日の話。

 これも全く予想せずにやってくる。

 5月24日の日曜日もやはり突然に訪れた。

 この日の天気予報は雨

「せっかくの日曜日なのにもったいないぁ」

と雨空を見つめていると、次第に雨脚が弱まってきた。インターネットの天気予報は雨が弱まるといっている。思い切って小雨になった時に中心地を目指して出発。

 自転車を走らせているうちに雨雲はどこかに流されてしまい、青空が広がりだした。よしよし。

 中心地に着いたのは夕方5時前。日本でいう日曜日の5時前は、もう月曜日に備えて家でゆっくりする時間なのだが、ここは違う。

「雨が上がった!」

といわんばかりに人が通りに溢れている。

 雨が降っていたせいか、いつもより路上で芸をする人が少ない。

「こりゃよいかも」

と張り切って開始。

 面白いように人が止まる。

 路上の芸で人が止まるとき「人だかり」というのでは「一体どのくらいの人が足をとめているかハッキリしないので」自分の中では人気漫画の進撃の巨人のごとく目測で人を数えて「10人級」とか「20人級」などと表現している。(芸を演じている人は周りまで目がいかないと思うかも知れないけど、慣れて来ると観客人数は大体分かる)

 話は戻って、この日は立て続けに人が止まる。それも30人~40人級。

 7時過ぎたころにはさらに人が増え70人級に。

 「なんだ、なんだ今日はやたらに人が足を止めるな」

と思いながら演じるのはいつもと同じこと。しかし人が多いと大事な場面で失敗できなと少々力がはいる。

 観客が多いときに無事に終了すると見ている人が多いだけにコインの入りももちろんよい。

 それからよい芸をすると話しかけてくる人も多く、特に手品の場合は「誕生会、パーティに来て欲しい」と声がかかる。今日はそういった話もよくもらった。

 一日が終わると「今日はよかったなぁ」と一人ニヤニヤとし疲労感と満足感に浸る。

 本当にこういう「会心の日」は路上芸人冥利につきる。

 足を止めて見てくれる皆様のおかげです。ありがとうございます。

【写真】長らく路上に立っていると会心の日もでてくる。
【写真】長らく路上に立っていると会心の日もでてくる。

 

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