【エベレスト登山】エベレスト登山60日のおおよその計画。

 エベレスト登山には通常の登山では考えられないほど長い時間がかかる。(この記事はエベレスト南東稜ノーマルルートについて書いています。)

 標高5300mのベースキャンプから8848mの山頂までの道のりが長いのではなく、8000mを超える高所に順応するためにどうしても時間がかかる。

 そのためエベレストの登山は少なくとも6週間から10週を要する。

 今回はその大よその日程について。

 一例として公募登山を行っている登山会社の日程を参考にした。殆どのエベレストの登山隊はこれに似た日程を組む。

 (故に近年は好天日に頂上付近の渋滞が起こるわけである)

エベレスト南西壁
エベレスト南西壁

エベレスト登山の日程

~日本からの60日~

1日目 日本を出発。

2日目 カトマンドゥ着(少なくとも3月30日前)ホテルに移動。

3日目 カトマンドゥ滞在。観光や最終荷物チェック。

4日目 カトマンドゥからルクラへ(2800m)飛行機で移動。パクディン(2600m)までトレッキング。

5日目 パクディンからナムチェバザール(3440m)までトレッキング。

6日目 高度順応のためにナムチェバザールに滞在。

エベレスト街道途中にあるナムチェバザール村。
エベレスト街道途中にあるナムチェバザール村。
7日目 ナムチェバザールからタンボチェ(3860m)へトレッキング、滞在。

8日目 タンボチェからディンボチェ(4340m)へトレッキング、滞在。

9日目 ディンボチェからロブチェ(4930m)へトレッキング、滞在。

10日目 ロブチェからカラパタールの丘(5540m)へ、そしてゴラクシェプ(5140m)滞在。

11日目 ゴラクシェプからエベレストベースキャンプ(5300m)へ。

12日目 ペースキャンプにてプジャと呼ばれるお祈り儀式。(シェルパ族の慣習)

13日目 ペースキャンプからまでアイスフォールを通過しキャンプ1(6100m)に行き、その日のうちに戻ってくる。

【写真】エベレスト登山の中でも危険とされるアイスフォール
14日目 体を休める。

15日目 ペースキャンプからキャンプ1に上がり、そこで1泊過ごす。

16日目 キャンプ1からキャンプ2(6400m)に行き、ベースキャンプに戻る。

17日目 体を休める。

18日目 キャンプ1に行き、1泊する。

19日目 キャンプ2に行き、1泊する。

20日目 ベースキャンプに戻る。

21日目 体を休める。

22日目 体を休める。

23日目 体を休める。

22日目 ベースキャンプからキャンプ2に行く。1泊する。

23日目 キャンプ3(7400m)に行き、キャンプ2に戻る。

【写真】キャンプ3から見下ろしたウェスタンクーム。
【写真】キャンプ3から見下ろしたウェスタンクーム。
24日目 キャンプ2にて体を休める。

25日目 キャンプ3に行き、1泊する。

26日目 キャンプ4(7900m)に行き、キャンプ2まで降り、滞在。

27日目 ベースキャンプまで下る。

28日~31日目 標高3000m代のパンボチェ(3960m)まで下り、体力の回復を図る。

32日目 ベースキャンプに戻る。

33日目 山頂アタックに備える。

34日~53日目 天候待ち、天候がよければベースキャンプを発ち、キャンプ2へ、滞在。
   
       天候がよければキャンプ3に移動。

       天候がよければサウスコル、キャンプ4へ。

       アタック当日は前日の10時から深夜に出発する。

      (好天に恵まれればベースキャンプから山頂まで5日で到達)

       山頂(8848m)からキャンプ4へ、滞在。
 
       キャンプ2に下る。
    
       ペースキャンプに下る。

54日目  ペースキャンプを出発、ペンボチェまで下る。

55日目  ペンボチェからナムチェバザールへ下る。

56日目  ナムチェバザールからルクラへ。

57日目  ルクラから飛行機でカトマンドゥへ。

58日目  カトマンドゥ滞在。休暇。

ネパール カトマンドゥ
ネパールの首都カトマンドゥ
59日目  カトマンドゥを出発

60日目  日本到着。

 以上が大まかな日程である。

 これは一例で、すべての登山隊がこの日程というわけではないのでご注意。

 

高度順応に時間がかかる

 これを見ると分かるが、エベレストの登山では高度順応と体力回復、天候待ちに多くの時間を費やすことが分かる。

 高度順応の手順として昼、標高の高い場所に行き、夜は標高の低い場所で眠る。次は更に高いところに行き、また低い場所で眠るというもの。

 予定表の中に休憩が多く取り込まれていることに気がつくだろうか。高所においては体力の浪費が激しいく、回復が遅いために十分に休憩をとる。

 キャンプ3までの高度順応が終了すると標高3000m台まで下山し、徹底的に体を休める。

 日程はルートの状況や天候により簡単に、大幅に変更になるので目安程度にしかならない。

 行動順応が終わり、休憩も終わった34日後に好天が続けば、登山期は短くなる、逆に天気が荒れれて雪が積もれば登山期は伸びていく。

 しかしどんなに遅くとも6月の上旬にはエベレストの登山期は終わる。それは外気温が高くなり、アイスフォールの崩壊が始まるからである。

まとめ

 エベレストの登山にはとにかく時間がかかる。

 そのほとんどが高度順応と休息に費やされている。これらのことからもエベレスト登山では高度順応が重要であることが分かる。

<関連リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その1、時間。
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その2、資金。
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その3 キャンプ1からキャンプ2。

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