【エベレスト登山】2014年4月18日エベレスト史上最悪の遭難事故発生

エベレストの遭難事故というと1996年5月に起きた大量遭難を思い浮かべるが、2014年4月エベレストの遭難事故としては最悪となる事故が起きた。

事故の概要はベースキャンプからキャンプ1標高5900mの途中で雪崩が発生し、ルート工作をしていたシェルパがその雪崩に巻き込まれたと言うもの。

近年のエベレストの登山は登山隊のほとんどが商業登山と呼ばれ、ガイドが顧客を募って登らせるいわゆる公募隊が殆ど。一昔前のような国が威信をかけて精鋭部隊を送り出すというものではなくなっている。

その公募隊の登山活動を大きく助けるのがシェルパと呼ばれる現地のガイド。シェルパとは「東方の民」という意味であり、チベットからネパール近辺に住む民族の呼び方でもある。同時にシェルパ族は高所に居住していることから、ヒマラヤ登山の補助をするようになった。

そしてシェルパという言葉は民族だけでなく、登山を補佐する現地ガイドという意味でも使われる。

現在の公募隊登山を支えているのはこのシェルパによる力が大きい。

具体的にはシェルパにより、ルートが工作され、荷がキャンプへと担ぎ上げられる。もはやシェルパがいなければエベレストの登山が成り立たないといっても過言ではない。



今回の事故はそのシェルパがルート工作や荷揚げを行っている最中に起こったとのこと。

場所は南東稜、ノーマルルートのキャンプ1付近のようだ。BBCによると標高5800mとなっている。

エベレスト登山は標高5300mからキャンプ1までの区間には「アイスフォール」と呼ばれる、堆積した氷河が押し出され崩落している場所がある。標高5800mというと、このアイスフォールの上部に当たる。

ベースキャンプからアイスフォールを抜けてキャンプ1へ。
【図解】ベースキャンプからアイスフォールを抜けてキャンプ1へ。(クリックで拡大)

通常アイスフォールは上部に行けば行くほど氷塊が大きくなり、氷河の割れ目であるクレバスも大きくなる。

【写真】アイスフォール登攀中。大小様々な氷塊が天然の迷路を作り出している。
【写真】アイスフォール登攀中。大小様々な氷塊が天然の迷路を作り出している。

こういったところを通過するのは至難の技なので毎年登山期になると地元シェルパのチームがここにロープを張ったり、はしごを据え付けたりとルートを工作。

このルートの工作があるから公募隊に参加した登山経験が浅い者でも難なくアイスフォールを通過できる。

事故はこのシェルパがルートを工作している最中に起こったとのこと。アイスフォールでは氷河の崩壊はよくあるが、雪崩が襲うことは稀。関係者は驚いたことだろう。

この記事を書いている時点では12人が死亡、4人が行方不明となっている。行方不明者が一刻でも早く発見されることを願う。

また2014年度のエベレスト登山に参加している日本の芸能人であるイモトアヤコ氏、なすび氏は無事であることをインターネットを通じ発表している。

2014年度のエベレスト登山はまだ開始したばかりである、例年より降雪量が多いのであれば雪崩の危険性が高い。すべての登山者が無事に下山できることを願って止まない。

<関連リンク>
(外部)日本経済新聞 エベレストで雪崩、12人死亡4人不明 最悪の遭難事故
(外部)BBC エベレストの雪崩(英語)

関連記事

2014年の2月ネパール政府によるエベレスト入山料の大幅値下げにより益々登山者が増加するであろうと思われるエベレスト。今回はそのエベレストの登山で最も人気があり、登頂率が高いノーマルルートと呼ばれる南東稜からの登山を図を交えて解説し[…]

図解・エベレストノーマルルート
防災、キャンプでも使えるポータブル電源【PowerArQ】

ツイッターで更新、最新情報をつぶやいています。