道は舗装されていないが細かいジャリで走りやすい、どんどん下った。

川と同じ高さを平行して走っている時もあれば、川がずっと下になり、断崖絶壁のすぐ側を走ることもあった。日が暮れ始めた、ラウォの町を過ぎてからは、工事している所は無く、当然工事用のテントも無かった。
川と反対の側面には緩やかな山でどこででもテントが張れそうだった。
「どこで寝てもいいや」そう思いながら自転車を走らせていた、どこでもいいけど、やっぱり人のいるところが安心できる。
下りだったので「走れるだけ走ろう」と薄暗くなるまで走り続けていた。
前方の川沿いにいままでよく見かけた工事用のテントがポツンとあった、どこを工事しているか分からないようなところだった。
テントに近づき
「こんにちは!」
と声を立てると、中から工事のオッちゃん達がぞろぞろと出て来た
「日本人で・・・」
と言うとかなり驚いた様子だったが、ここにテントを張ってもいいですか?と聞くと
「いいよ、問題無いよ。」
と言ってくれ、今日の寝床が決まった。荷物を下ろしていると
「飯だぞー!、器はあるか??」
と聞かれた、工事のテントはこれがあるのでありがたい!大量に作るので一人増えてもかまわないというのだろうか、とにかく工事テントにはお世話になります。ありがたや。

北海道で拾った、アルミの器(コッフェlル)にご飯を入れてもらい、春さめと野菜のスープをかける、いつもながらうまい。
白米も嬉しいし、暖かいというのも加えて嬉しい。満たされた気持ちになって、器を川ですすぎ、テントを張る。
オッちゃん達は不思議そうにその様子を見ていた。
筆談で「これからラサに向かうんだ」とか「その後はネパールへ」という話をすると
皆「へぇ、ほぅ」と驚いた顔をする。 暗くなり、オッちゃん達に「おやすみなさい」と言いテントに潜り込んで寝る。
オッちゃん達の朝は早かった。
まだ寒いが6時半にはもう起きて、テントの脇にあるセメント袋をさっき到着したトラックに積み込んでいる。
私もすぐに起きてテントをしまう、出発の準備を整え終わった頃「朝飯だ!」と呼ばれので、昨日と同じ器をもって、大きな鍋から自分でご飯を盛る。
キャベツの炒めものにスープを入れ食べる。
朝から元気満タン。オッちゃん達がテントを解体し始めた、このテントは今日一杯で他の所に移動するらしい。運の良いところに出くわしたものだ。
また到着したトラックに荷物を積み込んでいる、私にも手伝えそうだったので、皆が運んでいる中に紛れ手伝う。するとすぐに親方の様な偉そう人が
「いいからいいから、お前は行け!」
と言う
「飯の分くらいは・・・」
と説明するが
「いいから、いいから」
とオッちゃんは言う、慣れない私がいるとかえって邪魔になるのか?と、出発することに。本当においしいご飯をご馳走さまでした。謝謝。

今まで登りばかりだったので、予定だと120kmの「下り」。
「こりゃ、すごいぜ!」
と喜んでいたが、登りが川沿いで緩やかだったので、下りも川沿いで緩やか。
時には洗濯板のような細かいガタガタ道になる、こいつはやっかいでスピードを出すと、自転車が上下に振られて荷物が吹き飛びそうになるので、速度は出せないどころか、自転車を押して歩かなければならないこともある。
こういう時は舗装道路のありがたみが身にしみて分かる。
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