最悪路

道は登っているはずだったが、ここはほとんど平らに感じた。

遠くの平原に建物が密集しているのが見えた。町に近づくと近代的な建物が並ぶ、ここは中国人の町だ。

建物で中国人の町と分かる
【写真】建物で中国人の町と分かる

町の建物のつくりで、その町がチベット人の町か漢民族の町かが分かる。情報からすると75kmの登りの途中には村一つさえもないはずだったが、こんな町があるなんて!正直驚いた。

町には「飯店」がいくつもあった、卵チャーハン6元(90円)を食べる。この町には電気も来ている様だ。店内はやたらに清潔に保たれ、建物も新しかった、きっとここ数年で開発された町なんだろう。

想定外の町でチャーハンを食べる
【写真】想定外の町でチャーハンを食べる

町を過ぎたところから、道は川から離れ、くねくねと山を登り始めた。

街を出ると道がすごいことになっていた
【写真】街を出ると道がすごいことになっていた

山道の状態はひどく、柔らかい泥で、トラックなどが走ったあとがわだちとなって残っている。

ここからまた工事が始まっていた、工事のオッちゃん達に聞くところ、私の前に自転車で通った人はいないということだった、どうやらリンハードさんは私の後方にいるらしい、どこかで私は彼を追い越しているということになる。いずれまた彼が私に追いついて来るだろう。

標高が高くなるにつれ、緑が少なくなり、木の背が低くなっていく。デコボコの道と悪戦苦闘していると、なんと「あられ」が降り出し、道をぬらし、デコボコだった道がドロドロの泥道に変わっていく。

しばら粒の大きいあられが降っていたがやがて雪に変わり、風も出てくる、強い風だ。今まで色々な道を通ってきた、どこの道もカンボジアの悪路にはかなわないと思っていたが、ここはそれを越える悪路になっている。

道の条件プラス、登り坂、さらに標高が4000m以上ときて、呼吸が異常につらい、だめ押しの雪。

これ以上の悪条件は地上にないのでは??史上最高の悪路。

車がやっと一台通れるほどの幅で、、車が来ると自転車をドロドロの道から持ち上げ、道路の端に移動する、靴は泥まみれになり、ズシリとする程重くなっている。

しかしラサまでの残り二つの峠一つだったので気分的には「踏ん張る」れる。

これがもし、チベットの入り口に待ちかまえていたら「なんてところだ、チベット」と気が滅入っていたかもしれない。とにかく、ここを越えれば、残りの峠は「ひとつ」というのが私の体を突き動かしていた。

途中で工事のオッちゃんが峠まで「あと4km」なんて言うもので嬉しくなったが、全然峠は見えてこない。

左側の崖がものすごい高さになっている、のぞき込むと目がくらむ様な断崖。雪が止んで、晴れ間が広がったかと思うとまた雪が降り出す、晴れ間の時の雲の流れがとんでもなく速い。

山はまだ上がありそうだ。今度はピッとした工事監督の様な人に「峠まであとどれくらいですか?」と尋ねる「あと5km」だと言われた、「さっきより増えていやがる」この5kmどんな5kmだ、えらい長いぞ。

また雪が降ってきた、夕方でかなり寒い、風もある。やっとこ、やっとこ雪で遮られる視界の中頂上らしきが見えた、夜7時。

ここから進むか?留まるか?「行けるだけ行っとけ!」と自分に言い聞かせ薄暗い雪道を歩き出したが明らかに「これはやばい」。

頂上は4600m、雪、風、寒さ・・・・「あぶねえぜ。本当に」ってもう一人の自分が言った。

そいつに耳をかし、今日は体力温存で明日、アタックにしようと考えが変わった。

せっかく登って来たのでもったいなかったが、坂を下り戻る。さっきの通過した工事のテントのそばにテントをはらせてもらおう。

引き返して工事現場の近くにテントを張る
【写真】引き返して工事現場の近くにテントを張る

火にあたらせてもらえるかもしれないし。

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