夕方になってもさっぱり雨は止まない、むしろ強まるばかり。
こういうときは寝るところを探すのに一苦労する。
ついでに風も吹きつづけているのでかなり屋根が広くないと
雨が吹き込んでくる。
道路沿いの名も知れない町で日が暮れる。
自転車を走らせ、時には押しながら眠れそうなところを探し始める。
晴れてさえいればどこででも横に寝転がって眠ることができるが、
雨だとそうはいかない。
頭の中にあがっている候補は、空き家、ガソリンスタンド、高架線の下など。
とにかく自転車を進め、眠れそうなところを発見しだい、そこにもぐりこむ。
足から下半身全体が濡れているが、このくらいの寒さなら死ぬことはないだろう。
とにかく進む。
雨の中を。
暗くなる一歩手前で工事中の建物を見つけた、
「あそこだったら大丈夫そうだ!」と建物に近づく、
ちょうど、工事の人もいて、許可をもらえれば安心して眠ることができる。
ちょうどセメントをこねていた作業服を着た人に
「メルハバ!」と声をかける。
ひげを生やしたおじさんだ。
覚えたてのトルコ語で、
「雨がすごいので、この建物の中に寝かせてもらえないですか?」
彼はわかったようであるが、「ボスに聞かねば・・・」と上を指差している、
ちょうどそこでボスらしき人が私達のいるところに降りてきて、
また同じ話をすると、
「問題はないよ」と言い、
続けて
「上の方が暖かいよ」と階段の上に案内してくれた。
上階には工事中だが、窓が入り、ストーブがある、
ハッサンと呼ばれるボスがストーブの前にいすを用意してくれ、
ストーブの上のふたを開けて新たに薪をくべてくれた。
「ここで暖まりなさい。」
トルコ語で何を言っているか分からないが、とにかくそう言っているように
思えて、そのいすに座らせてもらった。
ストーブの暖かさがホッとさせてくれる、もうストーブが暖かく感じる
季節なのだ。ハッサンは「靴下とズボンも脱いでここに干せ」と
ストーブの脇を指差す。
本当にありがたい。
薪をくべられたストーブが更に熱を発する、
窓は曇って外は見えないが雨が窓にあたる音が続いている。
明日は雨が止むだろうか。
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