路上での芸は、ささやかな収入をもたらしてくれるだけでなく、時に予期せぬ出会いももたらしてくれる。
タカチさん達と出会ったのも路上だ。
イギリスに入って最初の大きな街イプスイッチ、街中を抜けていくと歩行者が多い通りに出た。
いつもながら国が変って最初の野宿と最初の手品はドキドキする。
手品に関して言えばどういう反応をしてくれ、投げ銭をしてもらえるかどうかが全く分からないからだ。
意を決して路上に自転車を止める、始めるとすぐに乳母車を押しながら歩いていたカップルが足を止めてくれた。路上での芸は最初の一人が足を止めてくれるかが重要なのだ。
一通り終ったところで、人々が器にコインを次々に投げ入れてくれた、この瞬間「ホッ」とするのだ、「どうやらまた進めそうだ」と。
道具を片付けているところで
「日本の方ですか?」
と日本語で話しかけられた。田舎の都市で日本語で話しかけられるとは思ってもいなかったので驚きながら振り向くと、女性と男性のカップルがニコニコしながら立っていた。
女性が日本人で男性が英国人のカップルだ。
「こんな所で何を?」
と言う話から自転車で旅行をしているという話から一通りを話した。
女性はタカチさんと言い、聞くと近くの町からこのイプスイッチに遊びに来ていたとのことだった。
この時はホームページのアドレスを書いて彼らと別れ、街を出た。
これがもう一週間近くも前の話だ。それからメールを頂き、ロンドンに向かう途中に立ち寄らせてもらうことになる。
そして今日、タカチさんの家にお邪魔させて頂いている。
タカチさんの家は緑に囲まれた静かな田舎の一軒家。
ご夫婦で温かく迎えてもらい、穏やかな日を過ごさせてもらった。
あの時あの場所で手品をしていなければ出会わなかったのだ、人の出会いとは本当に縁なのだろう。
今ままで路上で沢山の人に出会ってきた、そしてこれからも出会っていくのだと思う。
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左側通行に参る。
サムとサラ
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