サラマンカ市のマジョール広場からの道が二股に分かれる分岐で手品を始めた。
自分がこの通りで13年後に手品をするとは夢にも思わなかった。
女の子のグループが遠くから見出して、それから段々人が集まる。
一通り終わるとスペインは皆が立ち去るし、コインを入れてくれる率が高い。
南部のセビリアを思い出し、同時にポルトガルの引きの悪さ、コインの入りの悪さを再認識。
何度か手品をした後に、突然日本語で話しかけれた
「今日は泊まるところがあるのか?」
と男性は言う、男性の年齢は50代だろうか。私は今日は無料の巡礼者用の宿に行こうと思っていたのでその話をすると
「家に来ませんか?」
という嬉しい誘いを受けたので遠慮なくお願いする。
しかしもう少し路上で手品をしたかったので1時間ほど後に会う約束をしてその男性と別れた。
約束の1時間後、先ほどの男性がまた手品をしているところにやって来た。私は区切りのよいところでやめて、男性に改めて挨拶をして自己紹介をした。
男性は
「私は吉田です」
と言った。
私は吉田さんの後に付いていき、アパートにお邪魔させてもらった。荷物をすばやく運び込んでくれて、自転車を二階に持ちあげた。
それから服を着替えて、9時までに洗濯機を回すというので着ている服を着替えて洗濯機に入れさせてもらった。
2週間身につけていたものである、恐ろしい匂いがするであろう。
それからすぐシャワーを浴びさせてもらった、久しぶりのシャワーは筆舌しがたい幸福感がある。
シャワーを浴びながら息が切れた。
何でわからないが、それほど必死になって洗ったからだろう。
それから吉田さんが、さばの押し寿司と味噌汁、そしてなんと蕎麦を出してくれた。
聞くと吉田さんはこのサラマンカで蕎麦を出すバルを経営していたとのことだ。
ちょうど最近閉店し材料が余っていたので、それを出してくれたという。そば粉はスペイン産だが、日本から技術者が来て蕎麦の実を育てているそうだ。
味は日本のものと全く遜色が無い、つゆも完璧でこれほどのものがスペインで食べられるとは衝撃である。
そばの味は近所でよく行ったそば屋を思い出させ同時に郷愁も強くする。食の記憶というのは何年経っても色濃く残っているものだ。
吉田さん本当にありがとうございます。
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