ニワトリが夜が明ける前の暗いうちから「コケコッコー」と何度も鳴いて、その度に目が覚めた。
ニワトリはいい目覚ましになる。無人地帯だと思ったけど近くにニワトリを飼っている人がいるのだろうか。
早起きしようと思っていたが、外に出てみるとあまり目立たななそうだったのでそのまま寝る。
9時頃やたらに近くで子供の声がしたのであわてて外に出ると、すぐ近くの民家の人がこちらを見ていて、その40~50代の男性と目が合った。民家がこんなに近くにあったとは、昨日の夜は全く気が付かなかった。
「こりゃすぐに起きねば」
と、慌てて外に、すると男性は近づいて来て
「よく眠れたか?」
とイタリア語で聞かれた、分からないけどそんなゼスチャーをした。人によっては不審に思ったりするのだが、話しかけてくるパターンは珍しい。子供もいるのだけど怖いのかこちらには近づいてこず、少し離れた所から不思議そうにこちらを見ている。
こちらも近づいて行き、「旅行者で、日本からです。すぐに行きます」と伝えた。男性は伝わったのか、伝わらないのか分からないけどニコニコしていた。
奥からもう一人寝間着姿の子供が顔をだした。お兄さんで小学生1年生くらいだろうか、さっきから見ているのは弟で5歳くらいだろうか。
「コーヒー飲むか?」
と男性が聞いてきた。
「いや、すぐ行きます」
と答えて急いでテントをたたむ、荷物を自転車に積もうとしたところで先ほどの子供が白いプラスチックのカップに入ったコーヒーを持ってきてくれた。
「いやいや、どうも」
とカップを受取る。砂糖が沢山入った甘く、香りのよいエスプレッソコーヒーだった。私が出発しようとすると男性は
「こっちから行ったほうが楽だよ」
と家の前の道を指差した。
昨日は道から外れた空き地の奥にテントを張ったつもりだったのだけど空き地の奥はおじさんの家の裏庭に繋がっていたみたいだ。どうりでニワトリが近かったわけだ。お礼を述べて出発する。
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ブーツの先
ノルウェーの5人組
おじさんに囲まれて
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