カーニバルの初日は大雨。
翌日路上に出かけるとギターケースを持った男が笑顔で「やぁ」と言いながらニコヤカな笑顔で近づいてくる、路上のギタリストのテデス(以前の日記はこちら)さんだ。
許可証のリストに彼の名前を見つけていたので会えるだろうかと思っていたら早速会えた。フィレンツェで会い、去年のカーニバルで会った彼。
「まだ自転車で移動しているの?」
と言われたのでこの1年の経緯を簡単に説明する。通ってきた町の芸はどうだったかと聞かれた。さすがは路上のギタリスト。感じた通りイタリアの方がよいと返事をしていおいた。
テデスさんと話をしてからしばらくして背の高い男性が「日本人?」と訊ねてきた。おっ、珍しく話しかけて来た人がすぐに分かった。
数年前にフランスのニースで会ったバイオリストのヤンだ。ヤンはテデスさんに日本人で手品をする人がいるという話を聞いて、話しかけてきたらしい。それで話しかけて「あれ?」と気がついたというのだ。
私の方はヤンをバイオリストでありながら趣味が手品というのでよく覚えていた。ヤンは6歳の頃からバイオリンを始めて、オーケストラが窮屈で飛び出し路上で演奏を始めたバイオリニスト。趣味は手品というだけあって、持っている音楽の道具にまみれて手品の道具が入っているという面白い男。
ヤンと路上で立ち話をしていると、黄緑色のジャケットを身につけたひげを伸ばした男性が加わってきた。彼は路上の絵描きのイバンさん。去年もこのカーニバルで会って、今年もやってきたという。
イバンさんは路上の絵描きでもう30年も食っているというから驚きだ。今年は日本へも9月から11月まで旅行してきたといい「日本がすきだよ~」と言いながら片言の日本語を披露してくれる。
彼らを見て思ったのは路上の芸人達は実に様々な場所を移りながら生活している。まるで季節ごとに移動する渡り鳥のようだ。そういった彼らとの予期せぬ再会は格別に心躍る。