2004年頃からSNS(ソーシャルネットワーキング)と呼ばれるものがインターネット上に登場した。これはインターネットを介した人交流の技術である。日本ではMIXI(ミクシィ)と呼ばれるSNSが有名で、近年ではFacebook(フェイスブック)と呼ばれるアメリカ発のSNSが流行っている。
このSNSは既に現実社会で出会った人が連絡を取りやすくするのに一役かうのだが、もちろん出会っていない人を結びつけることもある。今回はこのSNSがきっかけになって思わぬ出会いがあった。
ことの始まりは広場で芸をしていた時のこと。ひと段落着いたところで30代くらいの男性に話しかけられた。その男性はジーノと名乗り、ずいぶんと旅行に興味があるようでしばらく立ち話をした。
しばらくすると彼の友人がやって来た。ジーノさんは友人と待ち合わせしていたようだ。ジーノさんと友人と旅行の話などで立ち話をしていると、友人の一人、ルドリコさんが「写真を撮ってよいか」と聞いてきた、もちろん断る理由はないので「はい」と答える。その後彼らとFacebookのアドレスを交換。これもスマートフォンを利用してその場で「友達」の繋がりが持ててしまう。
フェイスブック以前の旅行者の主流は別れ際にメールアドレス交換だった。更にそれ以前は電話番号や日本の住所を交換していたのだ。それに比べればフェイスブックは人のつながりを簡単に作り、保つのを飛躍的に容易にしている。 翌日写真を撮ったルドリコさんがFacebookに写真を掲載し、その写真を見たという人から連絡が来たのだ。お茶でもと言う話になり予定を合わせて会ってみることになった。
その連絡をくれた彼はビクトリオ君という20代前半の若者で日本に留学の経験があり日本語が話せ、いわゆる日本大好きなイタリアの若者だった。
話が長くなったのでまとめる。
日本に留学経験のある彼は自分の地元バーリに日本人旅行者が来れば是非話したいと思っていた。当然インターネット以前、よく言う沢木耕太郎氏の深夜特急の1970年代であれば縁もゆかりもない他人の二人が偶然という名のもと出会うのが唯一の方法だっただろう。
しかしインターネットとSNSが普及した今はたまたま旅行で訪れた人間に地元の人からコンタクトをとることが可能なのだ。
ちなみに旅行者から地元の人にコンタクトを取るのはやる気があれば簡単である。これは地元の日本語学校的なところを訪れたり、自らが行動を起こせばそう難しくない。しかしこの逆はなかなか難しい。地元の人が旅行者を探すのはさらに難しくなる。旅行者を呼び込むためにバスステーションや駅の前をウロウロとしている方法もあるが、それには根気も時間もかかる。
こう考えるとSNSは驚くべき出会いの方向性を増やしたいえる。
10年前なら決して出会うことのなかった、ビクトリオ君と話しをしながらSNSのもたらす奇妙な縁を感じた。
備考として
もちろん旅行者交流のためのSNSカウチサーフィンなどは現在近くにいる旅行者までが表示されて格段に旅行者同士も会えるようになっているが、今回はfacebookという旅行者限定でないSNSからの出会いということで取り上げてみました。