ローマで三度目の越冬

2015年1月12日 イタリア ローマ

 初めてイタリアに越境する前に見送りに来てくれたオーストリアのマーチンが「これから君が向かう国は世界でも指折りのよい国さ」と言う。イタリアについて日本に入ってきている情報は多い。しかし実際にその国に足を運んで見ないと、その国が自分に合うか合わないかはわらかないものだ。マーチンの言葉を「ふーん」と半信半疑にイタリアの国境を越えた。

日本を出てから多くの街や村を通過し、数多くの国に足を踏み入れた。そこで感じたのは「実際に行ってみるまで分からない」前評判のよい国が、自分にとってよい国とは限らず、逆に噂はよくなくてもとてもよい所ということもある。

などとイタリアに入国をした時のことを少々思い出しながらここローマで冬が終わるのを待っている。去年もここで越冬したし、2009年もここだった気がする、いや気のせいではなく、ここでした。

なぜまたローマなのか?という疑問が沸いてくるので自分の中で整理してみる。

まず、冬の寒さがそれほど厳しくない。これは大きい、ヨーロッパの冬は寒い、というイメージがあるが、いや実際に内陸部は日中でも氷点下という場所もあるけど、地中海に突き出た半島にあるイタリアは寒さがそれほど厳しくないのである。どのくらい厳しくないかというと先日1月11日の日中は14度前後、夜でも7度前後というもの。時々寒波は来るけど数日で去る。冬といえども厳しい寒さではない。

そして食べ物が美味しい。

イタリア料理は世界に知られているだけあり美味しいのである、ではなくイタリアにあるスーパーで売られている食材でも美味しいということ。そして種類が豊富。

仮にも長期の旅行者であるので、毎回レストランで食事をするわけではない、というかレストランには殆ど行かない(行けない)。必然的に自炊になるのだけど、その自炊のための食材がイタリアは実に豊か。例えば、お米一つを例にあげてもそうである。

世界にはお米を主食としている国は数あるが、日本米に近いお米というのはなかなか探し出せないもの。ところがここイタリアではディスカウント系(安いスーパー)スーパーでほぼ日本のお米と変わらないものが1kg1ユーロで手に入る。あの丸くて、甘くて、粘り気のあるお米がこの価格である。食べると分かるが殆ど日本のお米と変わらない。

パスタに関しては種類がありすぎて迷うほど。ワインやチーズ、野菜もなぜか美味しい。というわけで、必ずしも経済的に豊かでない旅行者でもなかなか美味しい食事にありつけるのがイタリアなのである。

またこのローマには中国人が経営しているアジア食材店がいくつもあり、そういった店では日本の食品、例えば、納豆や豆腐、たくあんなどが安価で手に入る。これも長期の旅行者にとっては素晴らしいこと。

(熱々の日本のお米と納豆や豆腐があればそれだけで「もう完璧!」となってしまうほど、長期の旅行者は日本の食事に飢えています。)

最後に観光客が多い。

ということです。イタリアのローマといえば名だたる観光地で見所も沢山あり、年間を通じて、観光客が絶えません。なんと冬の寒い時期でも結構な観光客が訪れており、路上で芸をしている者には本当に助かる。

ふつう路上の芸人にとって冬は閑散期。ところがローマは違う、何だか毎週末つには路上に人が溢れ、人が行き交いある程度の歩行者数があり、芸に足を止めてくれる人がいるわけです。

一度フランスのニースで越冬したことがありました。ニースは夏は青い海のビーチに接しているので多くの観光客が来ますが、冬はもう人が歩かないという状況。そういった場所では路上芸人は完全に終わりです。終業。ところがローマにはそれがないということです。

以上簡単になぜローマなのか?という疑問に自分なりに答えてみました。というわけで(どういうわけだか?)また懲りずにローマで冬を越しております。

またも前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいましたが、本人は相変わらず無駄に元気にしております。2015年もよろしくお願いたします。

【写真】観光地のローマは冬でも観光客が絶えない。
【写真】観光地のローマは冬でも観光客が絶えない。

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