2015年6月1日 イタリア ローマ
最近は旅行記というよりは「会心の一芸」やら「会心の日」など路上の芸観察日記みたいになってきていますが、一応旅行記だと思っています(本人は)。
言い訳がましいのですが、また路上の話です。
長らく路上の芸をしていますが、国を問わずに人をひきつけるものがあります。
これだけだと想像しにくいのですが、もしあなたが道を歩いていて「あれ、何だろう?」とひきつけられるのは何だろうか?ということです。
一つは「人だかり」じゃないでしょうか。
それも
「なぜ人が集まっているか分からない人だかり」
は特に魅力的で
「おや、何だろう?」と野次馬根性もはたらいて、ついつい覗き込みたくなりませんか。
もし隙間から何をしているか見えてしまうと興味は半減、
「ああ、あんなことをしているのか」
とチラッと見て通り過ぎてしまうでしょう。
「何をしているのか分からない」けど「人が集まっている」という状態が非常に人をひきつけます。
しかしその人だかり以上に人を強烈にひきつけるものがあるのです。
それは拍手と笑い声。
もしあなたが道を歩いているとしてください。全く気がつかないところから拍手が聞こえてきたら、「おや?」と思いませんか?さらに「なんだろう拍手が起こることって?」と足を止めませんか。
中の見えない人だかりはある程度の人数が集まらないとできないのですが、拍手は数人からでも起こせるのです。
足を止めた数人が拍手をしてくれる、すると通行人が注目します。
というわけで観客が少ない状態から一気に増やすには「拍手」してくれる観客がいるととてもよいということです。
ところで拍手にも種類があります。
「うん、まぁまぁ」と思いながら、パチパチパチという感じで叩く拍手。
「うわっ、素晴らしい!」と感激して早く力強く叩いてくれる拍手。この拍手を観客にさせることができれば「えっ何?」と多くの人が振り返る、または足をとめてくれます。
そして、さらにそれを上回るのが笑いや歓声です。
見ている人が数人を笑わせたとしても、人数が少ないときは観客は静かに笑います。あまり「あっはっはっは~」と笑う人はいません。笑っても「ニヤリ」な感じです。
ところがある程度人が集まってくるとその笑い声のタイミングがまとまり、
「どっ(笑)」という感じになるのです。そうするとこれも強烈に人をひきつけます。
それから歓声というと大げさですが、何かのタイミングで人の声がでる、その声が重なるとやはり効果的。
例えば小さい子を観客の前に連れ出して、その子がわざとじゃなく、無邪気なしぐさをすると観客が一斉に「ワァッ!」と声が出る。そうするとこちらは何もしていなくても人が益々足を止めるのが分かる。
「ひとだかり」「拍手」「笑い声」は言葉が全く通じなくても、どこでも共通で人をひきつけます。
以上を踏まえこの三つをプラスして
路上で何をしているか分からない「ひとだかり」から強烈な「拍手」が聞こえ、さらに「笑い声」や「歓声」まで聞こえてきたらもう人間ホイホイのように人が集まってきます。
もし言葉の通じない地域で路上で芸をする人がいたら参考にしてみてください。(少しは役に立つかも)
注:「人間ホイホイ」というのは(今もあるのか分かりませんが)ゴキブリを捕まえるための「ゴキブリホイホイ」という商品名をもじったものです。(古い商品なので現代の若者層に通じるか不明なため一応解説)
