現在(2015年9月の時点)滞在しているイタリア南部の街レッチェ。ブーツの形をしたイタリアのちょうどかかとの部分にある街。
ここで夏の間はバカンス!ではなく、バカンスにやって来た人を相手に芸をしてい生きながらえています。
このレッチェは丁度半島の中心にあり、夏のバカンスに来た人が一度は立ち寄るという好立地。
というわけで夏は数多くの芸人がイタリア内はもちろん海外からもやってきてしのぎを削っています。
そんな芸に対して寛容な街であるのだが、やはり少々のルールは存在している。
当たり前だけど危険な芸は禁止。よく警察に止められているのは火を使う芸。
ファイヤートワリングとかポイといわれる類のものだ。夜に演じると火を使ったパフォーマンスは見栄えがあるので人気がある。
また時々アンプを使った演奏も注意されることがある。
よく話すようになった路上のギターリストのマルコさん。彼は常にアンプを使って演奏しているのだけど、注意される時とされない時があるそうだ。
このあたりがイタリアの警察の曖昧さ、適当さを表している。その時の警察官の裁量によるのだ。
警察の話になったのでついでにイタリアの警察の話も。イタリア警察が4種類に分かれている。日本で警察というと一種類、機動隊など特殊な部隊があるかもしれないが市民が通常接するのは一種類ではないでしょうか。
ところがイタリアはそれが4種類、それぞれの制服や役割が違うそうです。
通常警察と呼ばれるのは、青いデザインの車に乗る、警察官。交通上の違反や一般的な?犯罪を取り締まるのだとか。
それからカラビニエリと呼ばれる軍隊警察です。こちらは黒が基調のパトカーです。聞くと凶悪犯罪を取り締まるのだそうだ。
そしてファイナンザーレ、これは主にお金の犯罪を担当しているようです。パトカーは灰色。写真なし。
最後に市民に最も近いムニンシパレ、白基調のパトカー。大抵芸人が注意されるのはこのムニンシパーレです。軽犯罪を取り締まるようです。
という具合に4種類の警察官がいます。
ところで先日路上で芸をしているとポリスの青い車が4mほど離れた正面に停車。通常青ポリスは路上の芸人にかかわることはないので「なんだろう?」
ただの停車?パトカーの運転席を見ると助手席の警官がこちらをジッと見ている。
「オレか?」
するとガラスが下がり、こちらを見ていた警察官が「こちらへ」と手招きする。「うわオレかー」と驚きつつも逆らうわけには行かない、緊張した面持ちでパトカーに近づく、警察官は少しムッとした渋い顔をしている。何か知らんがまずい。
声が届く距離になると警察官が開口一番
「君の芸2回見たけど、よかったよ!」
ニコリ。
面食った私が
「はぁ、どうも、ありがとうございます」と答えると
警察官はニヤッとしてパトカーを発進させた。
なんだ、職務質問かと思ったじゃないか、芸の感想かよ!それならそそんな渋い顔でパトカーわざわざ止めることないから。
そういえば首都のローマでもパトカーを下りてきた警察官にいきなり電話番号を聞かれたことがあったが、あの時も「誕生日会に呼びたいのだけど」という話だった。
日本では公私混同するなと上司に怒られそうなものだが、さすがイタリアの警察、適当さが何ともいえない、イタリアらしいといえばらしい。