二話続けて悲劇の話です。
今回はイタリア、ミラノでの悲劇の話です。
路上で芸をしながら生きている者にとって、ヨーロッパのバカンスシーズンは稼ぎ時。夏のバカンスをはじめ、イースター復活祭の休暇、それからクリスマスから年始のバカンスは人が動くので是非とも路上に出たいところ。
人が休む時こそ稼ぎ時!を合言葉に路上にでています。
しかし2016年年始のミラノは大変でした。
ミラノは首都ローマをしのぐイタリア一の大都市であり、観光客をはじめ、ショッピングを目的にした多くの人でにぎわっています。
こと年末年始なんてそりゃ凄い人出になるだろうと、今年はミラノで年末年始を迎えることにいたしました。
ミラノは警察官が多い
2015年にパリで起こったテロ事件以来、ヨーロッパの主要都市はテロを警戒して今まで以上に警察の姿を見かけるようになりました。
イタリアの一大都市ミラノも例外なく、そこら中に警察を見かけます。前回の「イタリアの警察」でお伝えした警察が全種類います。ポリス、カラビニエリ、ムニンシパーレ。
加えてかなりの私服警官がいると思われます。これは一般市民にまぎれているので全く見分けがつきません。ガタイのよい男が3人ぐらいで難しい顔をして歩いていたら私服警官かもしれません。時々、人ごみの中から「ジー、ガガガー」と無線機の音が聞こえてきたりします。
許可が正確すぎ
これほど多くの人が訪れるミラノ。多くの芸人にとってはとてもよい場所になると思われるのですが、許可のシステムがイマイチ。
通常路上の許可は日単位が多いのですが、ここは時間単位で場所までキッチリと決められてしまいます。
つまり、1月5日の午後1時から3時まではポジションAという具合です。
イタリアだけにちょっとぐらいオーバーしてもよいだろうとか、そこまで時間を調べる人などいないだろうと考えていたのですが、トンでもありません。
やはり前回の日記「私服警官」で書きましたが、どこからともなく、観客にまぎれて私服警官がいたりして、突然歩みよってきては「許可持ってる?」「時間は?」「場所は?」と確認してきます。
もちろん制服の警官もやってきては確認します。
というわけで芸をする方も「何月何日、何時、どこ」を事前に申請する必要があります。
これらはすべてインターネット上で管理されていて、よい場所、よい時間には多くの芸人が申請するために、そういった場所はなかなか確保できません。
そして最後は・・
そして悲劇の最後は、人間の力ではどうにもならないもの。そうです、天候です。
場所予約でよい場所、よい時間を確保できても、その日に雨が振ってしまうと全くの無駄になるという恐ろしいことが起こります。
2016年は1月2日からまさかのミゾレ、そして5日まで気温0度前後という状態。
も・は・やお手上げです。
ローマで年越しした時は気温は10度前後と寒いけど、厳しい寒さではありませんでした。
ところがミラノは寒い。日中2,3度日が沈むと一気に冷え込み、とても芸どころではありません。
道行く人も寒くなれば芸を見ているどころではありません。足早になり目的地に一目散です。
追い討ちをかけるように
ショッピングに全く興味がないので気がつかなかったのですが、ミラノはショッピングの街でもあるんですね。
1月5日からはセールが開始。買い物袋を抱えた人でごった返しますが、この人達の目的はただひとつセール。