旅行を通じて様々な大道芸を見てきたが、マドンナーロと呼ばれる芸を目の当たりにした時の衝撃は大きかった。
「マドンナーロ」という言葉を聞いても一体どんな芸なのか全く想像がつかないだろう。
簡単に言うとマドンナーロは路上に絵を描く芸である。路上で絵を描くのではなく「路上、路面に」絵を描く芸。
そうは言っても想像しづらいと思うので実際の写真を見てもらうと分かりやすい。
マドンナーロ
初めてこのマドンナーロの芸に遭遇したのはイタリアのローマ。
路面に向かい一心不乱に絵を描いている男性がいた。「なんだろう?」男性の近くにコインの器があったので「ああ、芸の一種なのか」思った。
その時はすぐに通り過ぎてしまった。次にマドンナーロを見たのは芸術の都フィレンツェの路上だ。
街を歩いていると突如現れた路面の絵に驚いた。そこには誰もがしっているレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」が描かれていた。
既に絵は完成していて、やはり脇にコインを入れる器がおいてあった。
このモナリザを路上に書いていた方が近くにいたので話を聞いた。
するとこれは「マドンナーロ」と呼ばれる芸の一種だと教えてくれた。
本来は宗教的な絵を祭りや祭典に合わせて路上に描いていくものだったそうだ。
路上に描くために絵の具ではなく、チョークのようなものを使っている。
絵の大きさ、繊細さにより絵を完成させる時間はまちまちで、短いものでは1日、長いものになると数日を費やし路面に描いていく。
絵を完成させていく過程を芸として道行く人に見せているわけである。
絵が完成すると、やはり投げ銭ようの器をおいて置く。
このマドンナーロの芸でなんと言っても困るのが雨だそうだ。雨が降り始めると折角描いた絵も消されてしまうし、路面が濡れるのですぐに描き直すわけにも行かない。少々の雨であればビニールシートでカバーする。
そして絵が完成しその日の人通りがなくなると絵を消してしまう。せっかく長い時間と労力を費やして描きあげた絵を消してしまうというのは少々もったいない気もする。
チョークのような素材なので強くブラシで擦ると消えていく。
場所によっては消さずにそのまま放置し、人々が歩くことによって自然に消滅するのを待つ場合もある。
このマドンナーロの大道芸、イタリアで活躍する日本人のTOMOさんという方がいる。路上で絵を描いている日本人を見かけたらそれはTOMOさんかもしれない。(TOMOさんのサイトはこちら)
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