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【エベレスト登山】登山初心者がエベレストに登れますか?

登山の難易度はそれほど高くないといわれるエベレスト、それでは初心者でも登れるの?というのが今回のテーマ。

結論から書くと「はい、登れる可能性はあります」

現代のエベレストの登山は公募隊と呼ばれるガイドが引率し山頂まで連れて行くスタイルが主流になっている、つまりこの公募隊に所属できれば、初心者でもエベレストに登頂できる可能性がある。

しかし、登るまでに準備と手順が必要。人によっては準備や手順が困難になるかもしれないが、今回は大まかにどんな準備と手順が必要かを書いてみる。

(この記事はエベレスト登山ルートの中でも最も人気があり登頂率の高いネパール側南東稜ノーマルルートについて書いています)
<参考までに>
【エベレスト登山】南東稜側からの難易度は?
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その1

【写真】初心者でもエベレストは登れるか?(左がエベレスト)

1.準備するもの

・時間

エベレストの登山には時間がかかる。最低でも6週間、長ければ10週以上の時間が必要になる。

会社に勤めている人は休暇、自営業の人も長期の休業をしなければならない。

エベレスト登山のためにまず準備しなければならないのは登山期間のための時間。

<関連記事>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その1、時間。
【エベレスト登山】エベレスト登山60日のおおよその計画。

・資金

エベレストに登るには入山料として約110万円をネパール政府に納めなければならない。入山料は登頂できる、できないにかかわらずネパール政府に納めるもの。ネパール側からの登山にはこれが最低でも必要になる。

加えて初心者がエベレストに登る場合は公募隊に所属することになるが、その料金が200万~800万円(入山料以外に)かかる。料金に幅があるのは公募隊によりその参加費用が異なるから。

日本の公募隊参加費は高め、現地ネパールの会社は安め。

公募隊の費用の中にはガイド料金、ルート使用料、ゴミ回収預け金、ベースキャンプ滞在費、荷物運搬費、酸素ボンベの料金などが含まれる。

<関連リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その2、資金。
【エベレスト登山】南東稜 エベレストを安く登る方法・一般編。

・体力

エベレスト登山最後に準備するものとして体力を挙げた。これは時間や資金が十二分にあっても山を登る体力自体がなければ登頂は難しい。

ではどのくらいの体力を要するのか。

エベレスト登山で最も体力を要するのは、山頂アタックの時。これは標高7900mの最終キャンプ4を夜中に出発し、山頂8848mに午前中には到着して、明るいうちにキャンプ4に戻るというもの。

簡単にまとるめると、目安としては16~18時間以内に標高1000mを登り標高1000mを下る体力が必須になる。

東京スカイツリーの第二展望台、天望回廊が高さ450m、その二倍の高さを上り、下りてくるイメージ。もう一つ、サンシャイン60ビルの60階展望台が226mなので、この約4倍の高さ、これを階段で上り下りする体力である。

実際には背中に酸素ボンベを背負うので負荷は更に大きい。また標高8000m以上はデス・ゾーンと呼ばれ、体の機能が著しく低下する

こういった行動を十分にできるだけの体力を準備したい。

<関連リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その3、身体能力。
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その6 キャンプ4から山頂。

2.手順

・公募隊に応募

準備するものが整ったら、所属する公募隊を探そう。今の時代はインターネットがあるので国内外の公募隊を探せる。

捜し方は簡単、検索エンジンで「エベレスト」「公募隊」英語ならば「Everest」「guided expedition」で検索すると、候補が幾つも出てくる。

公募隊の値段は様々で安いものでは200万円代から高いものは1000万円というのもある。価格の差はサービスや内容の差であったりするのでよく調べよう。

一例として、日本人のガイド登山では日本人の細やかなサービスがあるし、日本語で意思疎通がとれるが高額になる。一方国外の公募隊であればその国のサービスレベルそして英語での会話が基本になる。

予算や能力を考えて公募隊を選ぼう。

<関連リンク>
【エベレスト登山】南東稜 エベレストを安く登る方法・一般編。

・課題の達成

公募隊を決め、参加の意を表すると公募隊のガイドから登山経験を問われるだろう。ここで初心者の場合「登山経験はほぼない」とことになる。するとガイドからは参加の条件や課題が提示される。

初心者の公募隊参加の肝はこの条件や課題をクリアーできるか。

課題の一例としては「6000m峰」への登山経験というのがある。これは基本的な登山技術を見るのと同時に、高所に対応できる体質かどうかをみるテストも兼ねられている。

 6000m峰は日本には存在しないので、この課題がこなせるかが一つの難関になる。

公募隊の参加条件はガイドや隊により様々なのでどうやったら参加できるかを相談してみるのがよいだろう。特にガイドはエベレストのプロフェッショナルのなのでどの程度の課題が必要か熟知している。

<2015年9月追記>
ネパール側は政府がエベレスト登山の許可を申請するのに標高6500m以上の山の登頂経験が必要となる変更を行う。詳しくは【エベレスト登山】ネパール政府が登山初心者のエベレスト登山を禁止。

 

登山開始

条件を満たし、公募隊に参加できたらいよいよエベレストの登山が始まる。

・エベレストの登山期

エベレストの登山期は年に二回。公募隊登山の多くは登頂率の高い春季に集中する。具体的には4月、5月。4月の上旬には標高5300mのエベレストペースキャンプに入る。

・南東稜のルート

ネパール側からの公募隊登山はノーマルルートと呼ばれる南東稜からのルートから登る。

アタックまでに設置するキャンプの数は4つ。大まかなルートは

ベースキャンプ → アイスフォール → キャンプ1(5300m)→
ウェスタンクーム → キャンプ2(6400m) → ローツェフェイス → キャンプ3(7300m) → キャンプ4(7900m)サウスコル → 山頂(8848m)
となる。
<関連リンク>
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その1

【写真】エベレスト、ベースキャンプとキャンプ1の間には難関アイスフォールがある。

・登頂率と死亡率

ルートの確立やガイドのノウハウの蓄積、気象予測の正確さなどにより1980年以前の登頂率に比べて格段に高くなっている。隊によっては登頂率50%を超えるところも。

しかし、登山なので山の状況や天候により登頂率が低い年もある。

また死亡率は低いといっても毎年死者が出ている。近年では死亡率は1%と言われているが、1996年に起こったエベレスト公募隊の大量遭難事故のようなことが起きないとも限らない。

エベレスト登山を志す人はこれらのことを留意しなければならない。
<関連リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山の登頂率と死亡率。
【エベレスト登山】1996年エベレスト大量遭難事故は何故起きたか。
【エベレスト登山】2015年度春季エベレスト登山は41年ぶりに登頂者なし。



まとめ

近年、ルートの工作、ガイドの経験などが蓄積され公募隊に所属できれば登山初心者といえどエベレストの登頂は夢ではなくなってきている。

しかし、富士山のように登頂を決意してから翌日に実行というわけには行かない。エベレストにはそれなりの準備と手順が必要になる。

初心者が登山するためには公募隊に参加が条件になるが、一定の水準や課題が課される。これをクリアーできるかどうかが公募隊参加へのカギになる。

また公募隊に参加できたからといって100%登頂を保障されたわけではない、登頂率は近年高くなっているとはいえ50%以下。

標高8000mを超え、デス・ゾーンに足を踏み入れる超高所の登山であり、死者は少ないとはいえ毎年出ていることを忘れてはならない。

エベレスト登山を考えている人は覚悟を持って挑戦してほしい。
<関連リンク>
2020年エベレスト春の登山は中止の可能性が高い

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