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2021年春季エベレスト登山はどうなるか?

【写真】立地的に危険な場所での野宿は極力避ける

 世界最高峰であるエベレスト8848mはネパールと中国の間のヒマラヤ山脈に位置しています。

 毎年、春季には大勢の登山家がエベレスト登山のために訪れますが、2020年はコロナ禍のためネパール側、中国側ともにエベレスト登山の中止を発表しました。

 2021年のエベレスト登山はどうなるのでしょうか。

【写真】ネパール側から見たエベレスト

エベレストの登山期は年2回

 世界最高峰エベレストの登山期は春と秋の年2回です。

【写真】通常エベレストの登山期は春か秋

 それ以外の季節も登るれますが、難易度が増し、特に冬は「冬季」という扱いになりグッと難しくなります。

 春と秋の登山期の内、最も登頂率が高いのが春季です。

 エベレストが初登頂されたのも1953年の5月29日の春季でした。

 

【写真】エベレスト初登頂も1953年の5月29日春季

 更にエベレストはネパールと中国にまたがっているので双方の国から登山ができますが、ネパール側の方が登頂率が高く、人気があります。

 これらを組み合わせるとエベレスト登山は春季にネパール側からの登山するのが最も登頂率が高くなります。

2020年エベレスト登山は

 2020年は中国で確認された新型コロナウィルス感染が世界中に広がり、春季はネパール側、中国側ともに中止となりましたが、秋季はネパール側が許可を認めたものの登頂者がいたというニュースは聞きませんでした。

 唯一2020年5月に中国のエベレスト調査隊が登頂したということが報告されています。

2021年のエベレスト登山は?

 そして本題の2021年度のエベレスト登山はどうなるか?ということですが、先にも述べた通りエベレストの春季の登山は4月から5月の間に行われます。

 この記事を書いている2021年1月7日の時点では、世界の新型コロナウィルスの収束は今のところまだ終わりが見えていません。

【グラフ】2021年1月ネパールの新型コロナウィルス感染者数推移

 恐らくエベレスト登山を行うには

・新型コロナウィルスの感染の危険性がなくなる

ことが重要であることは間違いありません。

 エベレスト登山ではベースキャンプで多くの隊員とシェルパが密な状態で共同生活を送ります。

 このため、ベースキャンプで新型コロナウィルス感染者がいた場合、一気に拡散される可能性がいなめません。

 ベースキャンプでは医療班は駐在していますが、新型コロナ感染者の重篤者に対応する設備はないでしょう。

 当然、重篤になった場合は処置のために首都のカトマンドゥにヘリコプターで向かうことになります。

 エベレスト登山では地上と比べて以下のことが考えられます。

・衛生状態がベストではない

・厳しい自然環境

・医療設備が十分でない

・酸素が薄い

衛生状態がベストではない

 新型コロナウィルスの感染予防としてよく上げられるのが手洗い、うがいなどでです。

 これは新型コロナウィルスに限ったことではありませんが、身の回りを清潔に保つということは他の感染症などに対しても有効です。

 ベースキャンプにはもちろん水道といったものはありません、飲料水は雪や氷河を加熱溶解したものを利用し、その他の水は雪解け水を利用します。

 また水が貴重なためにシャワーなどは週に1回、洗濯もままならない状態が続きます。

 食器の洗浄も本当に簡単に行われます。

【写真】ベースキャンプ食事

 新型コロナウィルスの感染者がいた場合、他の人に感染する可能性が高くなるといえます。

厳しい自然環境

 エベレスト登山はベースとなるベースキャンプが標高5300mです。富士山より更に1500mほど高い場所です。

 新型コロナウィルスはご存じの通り冬季に夏以上に蔓延しています。気温が低くても新型コロナウィルスの感染は頻繁に起こりえると考えられます。

 しかもテントは狭いスペースで数人が生活します。室内でも感染するのであればテント内は更に危険ではないでしょうか。

医療施設が十分でない

 エベレストのベースキャンプには毎年医療テントが張られ、高山病や急な事故に備えて医師が待機してくれています。

【写真】エベレストがあるのが雪と氷と岩の世界

 いくら医師がいるといっても地上とは条件が明らかに異なります。

 設備はベースキャンプに担ぎ上げらる道具のみです。新型コロナウィルスの重篤者に利用されるような呼吸補助の機器などはありません。

 ここで新型コロナウィルスの症状が重篤になった場合は処置ができないでしょう、また既述した通りネパールの首都カトマンドゥまでヘリコプターで運ぶ必要があります。

 ネパールの病院の病床の状況は分かりませんが、日本では新型コロナ感染者数が多く病床が足りなくなっている状況です。

酸素が薄い

酸素は標高が高くなればなるほどその濃度が薄くなります。この薄くなった酸素を体内に取り入れようとする変化により高山病が引き起こされます。

 新型コロナウィルスの重篤患者では血中酸素飽和濃度が重要視され、測定されます。

 エベレストの登山においてもやはり血中酸素量は体の状態を測定するために頻繁に用いられます。

 人間は高所に行くと自然と血中酸素飽和濃度が低下します。8000m峰登山などを行うと分かりますが、SPO2の値が80%台ということもあります。

 新型コロナウィルス重篤患者はこのSPO2の値が低下すると言われていますが、エベレスト登山中は低下状態が常です。

 こういった環境下では患者の正確な数値が測定できないため、地上より患者の状態の判別が困難になりえます。

過酷な条件になる

 通常の状態でも標高5300m以上で4週間~6週間は生活しなければならないエベレスト登山。

 ここに新型コロナウィルス感染の危険性がでてくると登山は更に厳しい環境になるといえます。

 ネパール政府および中国政府は春季のエベレスト登山が開始される4月前には2021年度のエベレスト登山の可否を発表すると思われます。

 2021年のエベレスト登山はどうなるのでしょうか。

 今回は以上です。

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