【日々徒然】年単位の長期旅行者が増えたわけ。

 近年、数年単位での旅行者が増えている。1990年代、それ以前は沢木耕太郎氏の「深夜特急」のように、数ヶ月から長くても1年という旅行者が多かったのではないだろうか。

 「一体なぜ旅行期間が長くなるのか?」今回はそれについて考えてみる。

長期旅行者
近年、数年間旅行する人は珍しくない。

インターネットの普及

 

 インターネットが一般的になる以前は日本を発った旅行者の行動、過程は日本に残された人には全くの不明だった。

 しかしインターネットが普及した現代、旅行者は旅先から情報を発信し、日本にいる者はそれを閲覧することで、旅行者がどういった状況にあり、何を感じているのかが分かるようになった。

インターネット
インターネットの普及が旅行に及ぼした影響は大きい。

 こうして今までは帰国するまで不透明でだった旅行者の行動が分かるようになってきた。
 
 旅行する側は渡航先からも簡単に日本に連絡が取れるようになった。更にはfacebookやMixiに代表されるSNSと呼ばれるインターネット上のネットワークを利用すれば、友人、知人の近況にも乗り遅れることがない。

 また別の観点から元々存在していた長期旅行者が情報発信を行い、その存在が可視かできるようになった。見えなかったものが見えるようになったということで「増えた」と感じる場合もあるだろう。

 まとめると

・旅行先での旅行者の動きが透明になる。「旅行がどういったものか」が分かりやすくなった、情報が得やすくなった。結果、旅行に対するイメージが湧きやすくなる→敷居が下がる。

・インターネットが心の距離感を埋める。孤独な旅行だったが、友人と気軽に連絡を取れ、会話もできる。旅行者にとってこれは大きい。

世界一周の流れ

 西暦2000年を超えた辺りから「世界一周」と称する旅行者が多くなった。

 これも年単位の旅行者が増える要因である。世界一周以前のバックパック旅行は「〇〇大陸に行く」というものだ。例えば「今度はアジアを周ろう」とか「ヨーロッパに行ってみるか」という大陸単位で行われていた。
 
 ところが「世界一周」という概念が普及した現在、「〇〇大陸巡り」よりも「世界一周」という旅行者が多くなっている。もちろん一大陸を旅行するよりも世界一周の方が時間がかかる。

 なぜ世界一周が一般的になってきたか?

 これは二つの要因が考えられる。

「世界一周航空券」なるものの認知度が進んだ。各大陸の乗り換え数が決まっていて、期限がついているが、この航空券を持っていれば世界一周もたやすい。

 世界一周特集や世界一周本の出版。近年旅行本コーナーには「世界一周」を関した本がズラリと並んでいる。インターネットもそうだが、こういった書籍が世界一周を分かりやすくし、情報を提供することにより、数多くの旅行者を生み出しすことになった。

 まとめると

・「世界一周航空券」認知度向上や、数々の「世界一周本」が発売されることにより「世界一周」が身近になった。世界一周には時間がかかる→長期旅行者が増える。

社会背景

 1970年代の1$360円に比べると2013年は1$100円前後になった。円高である。これは旅行者の生命線とも言える旅行費用の敷居を下げた。

 円がまだ安かったころ、海外旅行はお金持ちの特権だった。しかし現代は違う。バックパックを背負い、国によっては日本円数千円でひと月も滞在できるところもある。

 また日本の雇用スタイルの変化も旅行者を生み出すことになっている。以前は一度就業したら「終身雇用」という考えが多かった。しかし現代は転職が珍しくなくなり、また非正規雇用者も増えている。

 これに伴い職から離脱することがそれほど難しいことではなくなっている。

 モラトリアム世代の拡大。以前は30を過ぎてフラフラしていると世間体というものがあった。ニートと呼ばれる不労者や非正規雇用が増え、個人主義が進んでいる今現在、世間の目は幾分柔らかく感じる。

 まとめると

・終身雇用が当たり前の時代に比べると離職がしやすくなった。また世間の目も個人主義、多様化を認めるようになりつつある。そして円の強さ、旅行資金の豊富さは旅行期間を長くする。

結果的に・・

 以上述べてきた「インターネットの普及」「世界一周の流れ」「社会的背景」の相乗効果により年単位の旅行者が増えつつある。

 中でも「インターネットの普及」は旅行期間を長期化に大きな影響をおよぼしている。バスや電車、そして飛行機という移動手段が物理的に世界を小さくしていったとするならば、インターネットは精神的な距離を一気に埋める役割をもたらしたといえよう。

 インターネット上に溢れる旅行情報、SNSの普及による孤独感の消失。これらが旅行者のメンタルの部分に及ぼした影響ははかりしれないだろう。それが現代の年単位長期旅行者を生み出している最大の要因ではないだろうか。

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