野宿の方法を考えて、思考をめぐらせている間に野宿にはキチンとした定義が無いことが分かった。
テントや寝袋を使用しても野宿だろうし、ベンチにゴロンと寝ても野宿に間違いない。
つまり一言で野宿と言っても、用具のある、ない、ではそこに大きな隔たりがある。
簡単に言うと、野で夜を明かす道具があるかないかでずいぶんと野宿に対する心構えが変わってくるし、快適度に雲泥の差がでてくる。
なので野宿を大きく二つに分類する。
1.道具がない素野宿
2.道具を準備できる、予定野宿
1.の素野宿は全く道具がない状態でいかに夜を明かすかなので、2に比べると断然難しくなり、大変である。野生に近い。2.の方はもう野宿をするつもりで道具をそろえているので、野宿を恐れる必要はない。テントを持参していればキャンプとも呼ばれるが、野で夜を明かすのであれば、野宿と言っても差し支えない。
道具が全くない素野宿
1.素野宿
道具を何も持たないでの野宿はハッキリ言って予定外以外の何ものでもない。
酔っ払って終電を逃したというものから、海外でホテルが満室、野宿を強いられるというものもあるだろう。
道具を持たない者が野宿をするのはハッキリ行って厳しい。
また野宿をしようとしているところが街なのか、自然の中であるかで行動が違ってくる。
そしてそれが日本であるか国外であるかでまた大きく違う。
日本・街編
それでは準備のない野宿、日本の街編から
・場所
日本は世界有数の治安のよい国なので、基本的にどこで寝ても問題ない。
野宿の天敵である雨がふって来ると移動を強いられるので、軒があるところがよい。
あまり人目に付く場所は控えた方がよい、日本と言えど絡んでくる人もいる。また酔っ払いが多く通過する地点も避けた方がいい。酔っ払いは分別がなかったり、気持ちが高揚しているので絡まれる可能性は大きい。
また都心、街にある公園もよいが酔っ払い、若者グループ、危ない人が集まってくる可能性もあるので公園は出来るだけ避けた方がよい。
理想は軒があり、人目に付かない静かな場所である。慣れてくればよさそうな場所の判別が付くようになる。
・方法
【敷物】
道具がないので寝るだけである。しかし街で手に入るもの新聞、段ボールで野宿快適度があがる。
公園のベンチなどの一段高くなったところがよい。これは地面からの熱を遮断するのに大きな役割を果たしてくれる。
それからアリなどの小動物の侵入も防いでくれる。
実際にはベンチなど都合よく見つからないので、新聞紙やダンボールを見つけて地べたに寝転ぶことになる。
街なので落ちている新聞紙、破棄された段ボールなどが見つけやすい。
新聞紙か段ボールを手に入れておければそれを床に敷く。これで衣服の汚れを防げる。
地面がコンクリートであれば、冷えが伝わってくるのでそれを遮断するためにも是非ダンボールが欲しいところだ。
新聞よりも段ボールの方が圧倒的に温かい。
【上掛け】
気温により新聞紙やダンボールを上に掛ける。
こうすると体温が停滞するので少し暖かい。ジャケットを着ていたら、ジャケットを脱いで上半身にかけた方が暖かい。
これは5本指の手袋より、2本指の手袋の方が暖かく感じるというのと一緒で腕と体をそれぞれの体温よりも腕と体をまとめた状態で気流を停滞させた方が暖かい。
【その他】
靴は縫いでも脱がなくてもよい、暑ければ脱いでも良いし、寒ければ履いたままでもかまわない。
ただし、靴を脱いだ場合は靴が盗られないように注意する。
荷物の管理は厳重にする。
街では貴重品の管理をしっかりとする。貴重品を枕にし、なおかつ体のどこかに結び付けておけばよい。そのまま横において寝てしまうといかに治安のよい日本といえど盗まれる可能性はある。
寝ている間は完全に無防備になる。
【季節】
春夏秋冬の季節により眠れるかどうかが大分変わってくる。
夏は比較的楽だが、冬はかなり厳しい。
横になり動かないと体温が下がるので、あまりに寒いときは野宿をせずに夜明けまで歩きまわるしかない。
夏は都市部でも蚊の発生源(どぶや水溜り)があると蚊により眠りを妨げられるので注意が必要。あまりに蚊が多ければ場所を移動を余儀なくされる。
冬は街中であれば温かいゾーンを探す。地下鉄道などが地上に比べて温かい。少しでも気温が暖かいゾーンを探し、段ボールや新聞で身の回りを囲み熱を逃がさないようにして寝る。
日本・郊外編
日本の郊外での野宿もあまり危険に配慮しなくてもよい。なぜなら日本の治安が良いし、万が一の時でも言葉も通じる。
・場所
街の野宿と違い、コンクリート以外の場所に寝ることになる。やはりベンチがあればよい。また芝部地も寝転ぶにはよい、コンクリートと違って地面からの冷えが穏やかだ。
完全に自然の中でない限りは軒下、壁の近くなどがお勧めだ。風も雨も防げる。冬ならば霜の降下がない。
寝る時に雨が降っていなくて夜中に雨が降り始めることはよくある。
自然の中で木の下などで寝る場合は、毛虫や昆虫、小動物の侵入に備えなければならない。服やズボンの裾を閉め、シャツをきちっとズボンに入れる。
ビーチ、川沿いで寝るときは注意が必要。
潮の満ち干きがあるので十分波打ち際から離れること。また川沿いも同様。上流での降雨で水が増水することもあるので、川沿いは避けた方がよい。増水はあっという間に起こる。
また北海道や東北の一部では熊が生息しているので、その地域での野宿は控える。
春先からマダニが出てくるので野宿をした後はマダニがついていないかチェックする。特に山や林間での野宿では注意が必要。
マダニによる感染症は死亡することもある。著者も何度かマダニに遭遇したが、深く血を吸われる前に気が付けばよい。マダニがかみつくとかなり強くチクりと感じる。
野宿明けに体をチェックする必要がある。
夏であれば、蚊がいるので半そででの野宿はとてもではないが無理。
冬に近い秋や、暖かくなる前の春ならば虫もそれほど活発でなはいので木の下や、落ち葉の上に寝ることも出来る。落ち葉は地面からの熱を遮断するので意外に温かい。この場合も敷物を引いた方がよい
・方法
街以外、準備もなく野宿を強いらる場合は街に比べて難しい。
この場合は気候が大きくものをいう。
春、秋であれば何とか体温を保持に努めて、服を着込んで、体を丸めて寝るしかない。新聞しかダンボールを手に入れるのが好ましいが自然の中では難しい。とにかく体温保持に努める。
夏
一晩どこに寝転んでも大丈夫であるが、蚊の襲撃がすごいため、蚊の発生源があるところでは睡眠は難しい。
蚊が発生すると考えられるところから遠ざかる必要がある。
春、夏、秋ともに新聞紙やダンボールが手に入ったら、それを敷いて寝る。郊外でも貴重品の管理はしっかりとする。
寝ている間にそうっと近づかれると意外と気が付かないものである。
冬、郊外で何の準備もなしに野宿するのは非常に危険。体を動かして
準備のない野宿で冬はほぼ不可能なので一晩動いているしかない。
雪の中では雪洞を作り、体を丸めてどうにか体温を保持し、一晩しのぐしかない。
今回は日本で野宿、全く道具がない編、次回は道具がある場合である。
<関連リンク>
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