それは何の前触れも無く唐突にやって来た。
父を見送りにオーストリアのウィーンにやって来て、ホテルに滞在中の時のとこだ。

日本に持って帰ってもらおうと荷物をまとめる作業をしている最中に、父が背方向から声を掛けた。
父に答えようと中腰で振り返った瞬間、腰に電撃の様な熱い感覚が走った。
「うわっ!」と小声を漏らし、その場から一歩も動けなくなってしまった。
そのままヘナヘナと床に座り込んでしまった私を見て父が
「どうした?」と驚いた声を上げる。
私は
「腰が、腰が痛くて動けない」
と現状を説明すると
「そりゃギックリ腰だ」と父があっさりと言う。
父も何度か経験しているらしく、発生の仕方も症状もまさに「ぎっくり腰」だと言う。
原因が分かったところで、全く動けない、一ミリも。
なったことのある人は分かると思うが、痛いのは腰なのだが、全ての行動の振動が腰に伝わるので本当に一ミリも動けないのだ。
動かせるのは腕と頭だけそれ以外はどんな行動も激痛で出来ない。
しかし床に寝転んでいるわけにも行かないので、ゆっくり、ゆっくりホンの少しずつベットの方に移動し、何とかベットに体を横たえた。
何とか横になったのだが、痛くて寝返りすら打てない。
これじゃトイレも行けない。父が言うにはとにかく横になり痛みが引くのを待つしかないと言う。
この痛みが本当に引いていくのかと思うほど痛い。
数時間横になっていると、ベットから起き上がり足をロボットの様に片方、片方ゆっくり5cmくらいずつ進めて前進できるようになり、なんとかトイレに行けた。
しかし先が思いやられる、父は「治る」と言うがどのくらいで治るのか。

しかしトイレに行くのがやっとなのに、ハンガリーまで戻れるのだろうか。
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父再訪
アンダンテ
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