【エベレスト登山】南東稜側からの難易度は?

1953年エベレストが初登頂されてから2013年の5月で60年が経過した。

当時は国を挙げて登山隊を組織し、登頂を競っていたエベレストも近年では毎年数百人が登頂している。

一体、世界一高いエベレスト登山はどれくらい難しいのだろうか?

エベレスト
【写真】近年、毎年数百人が登頂するエベレストは難しいのか?

登山技術的には

南東稜側(ネパール側)からのエベレスト登山にもはや技術的な難所はないといえる。

それはなぜか。

南東稜側の登山ではベースキャンプから頂上直下までフィックスロープが張られるからだ。フィックスロープとはルート上に備え付けられたロープのこと。

第一関門のアイスフォールから氷の壁のローツェフェイス、そして頂上直下のヒラリーステップと難関にはすべてにフィックスされたロープがある。

万が一足を踏み外しても、滑らせてもフィックスロープがあるので安全。

ルートが工作されているので、ルートを見極める目や、進路を迷うこともない。道は作られているのでそれに従って進めばよい。

エベレスト
【写真】ベースキャンプから山頂まではロープが張ってあるので技術はあまり問題にならない。

ダブルアックス(アックスで氷壁を登る技術)も必要ないし、ロッククライミングも必要ない。必要なのは備え付けられたロープにしっかりと体を結び、体を上に上に運ぶ能力のみである。

では誰でも登頂可能か?と言われるそうではない。エベレストに登山技術は求められないが確かに必要なものがある。

体力と高度順応

それが体力と高度順応する体質である。

体力のひとつはエベレストの登山期間の4週間から8週間をテントで過ごす、快適でない空間で長期を過ごす体力。

そしてもうひとつは体を上に運ぶ力である体力。ルートがいくら工作されていてもそれを上りきる体力がなくては上にはいけない。

どのくらいの体力かと言われると、最後の山頂アタックでは16時間以上の長時間行動が要される。

キャンプ4が7900mであり、山頂が8848mなので標高差は約1000m。1000mというとおおよそ330階建てのビルに相当する。山頂アタックは片道上り、片道下りなので330階建てのビルを階段で上り、降りてくるぐらいの体力が最低必要ということになる。これを16時間以内に行える体力だ。

(もちろん酸素は薄いが、無酸素ではない限り酸素吸引しているのでその薄さは考慮しない。)

単純に比較はできないが、そのくらいの体力が必要とされるのは間違いない。

次は高所順応できる体質かどうか。

ともするとエベレスト登山においてはこれが最も重要な条件かもしれない。

技術や体力は訓練できる、鍛えられる。しかしこの高度順応できるかどうかは鍛えようがない。

お酒を飲めない人が鍛えたところで酒豪にはなれないのと同じだ。高所に弱い体質の人がいる。この体質の持ち主は高所の登山には不向きである。

酒を飲めるか飲めないかを知るには酒を飲んでみればよい。高所に強いかどうかは高所に行ってみればよい。高所に順応できるかはそれで分かる。

フィックスロープ
【写真】ヒラリーステップ近くのフィックスロープ群
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エベレスト登山は5300mのベースキャンプから始まるので高所順応が必要になってくる。




まとめると

エベレスト登山に技術はあまり必要でなく、それより体力、高度順応が重要ということが分かる。

エベレストの登山で登頂を断念する理由は体力がなかった、または高度順応がうまくいかなかったと言うのが多い。逆に登山技術が未熟だったというのは聞いたことがない。

そしてもう一つ登頂の成否に影響を及ぼす天候があるが、これは個人の能力の範疇ではないのでまた次の機会に。

60年前に登頂したヒラリーとシェルパのテンジンはこれほどまでエベレストが多くの人に登られるとは考えもしなかっただろう。

<関連リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登頂を断念する理由、5つ。
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その1
【エベレスト登山】南東稜側からの単独登山を考える。

 
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