2020年春季のエベレスト登山は中国側、ネパール側ともに政府が登山の中止を発表しました。
新型コロナウィルス世界蔓延の影響を受けて中止となったわけですが、どうしてエベレスト登山を中止しなければならなかったのか?というのが今回のテーマです。
2020年のエベレスト登山は中止
以前も記事に書きましたが、2020年のエベレスト登山は新型コロナウィルスの世界拡散を受けてネパール側、中国側とも中止が決定しました。
なぜ新型ウィルスでエベレスト登山を中止しなければならないのか簡単に解説します。
3密
登山に新型ウィルスは関係ないとも思われますが、エベレスト登山の場合は高度順応に時間を費やすために、多くの人が共同生活に近いスタイルでベースキャンプで時間を過ごします。
エベレストベースキャンプは標高5300m、共同生活エリアの多くはテントとなります。
食事や登山計画を行うのも大型のテントです。
今、コロナウィルスの蔓延を避けるために「3密」を避けるように言われていますが、このテント生活はまさに「3密」の状態です。
テントは冷たい外気から保温するための「密閉」
登山計画の会議などで人が集まる「密集」
テントの面積は通常の建物に比べて狭いのでどうしても「密接」
になってしまいます。
エベレスト登山者はベースキャンプで6週間~10週間の期間を過ごします。
更に高所のキャンプでは小さなテントで数人が寝食を共にします。
世界中からやってくる登山者
エベレスト登山をするために世界中から登山者が集まってきます。以前はヨーロッパやアメリカの登山者が多かったのですが、近年は実に様々な国々から登山者が集まってきます。
当然、新型コロナが蔓延している国からも参加者がいるわけです。
エベレスト登山をするくらいだから健康な人に間違いないと思うのですが、新型コロナウィルスは無症状で感染している人もいるので危険です。
一度エベレストとベースキャンプでウィルス感染が始まると非常に危険です。
衛生状態もベストではない
新型コロナウィルスを蔓延を防ぐためには、マスクや手洗いが推奨されています。
標高5300mのベースキャンプにはもちろん水道はありませんので、水は近くの川か雪を溶かしたものを利用します。
・マメな手洗いは難しい
ベースキャンプ近くに雪解けの水が流れている小川がありますが、雪解けの水なので非常に低温です。
また手を洗うために毎回川にいくのも大変な労力です。
そのため、こまめに手洗いをできません。
・シャワー
毎日シャワーというわけにももちろん行きません、シャワーを浴びるには大量を水を沸かす必要があり、そのための準備や燃料などの消費が大変です。
1週間に一度シャワーを浴びられれば良い方です。
・洗濯はほぼ不可能
洗濯機もありませんし、電気も来ていませんので手洗いになりますが、雪解けの水は冷たいので手洗いは非常に困難です。
というわけで洗濯も基本的にできません。
・洗い物も簡単に済ませる
ベースキャンプには食事をするテントがあり食事をしますが、水が少ないため食器類を丁寧に洗剤で洗うのも大変です、そのために拭き取りや、簡単なすすぎで食器を使います。
医療設備が貧弱である
エベレストベースキャプには高山病や登山の事故に対応するために医療のテントがあり、医者が常駐してくれています。
高山病になる人は多くいますが、水分を取る、安静にする、また低地に戻るなど処置が分かっています。
新型コロナウィルスに感染し重篤化した場合、人工呼吸器などが必要になりますが、そういった設備は望めません。
従って、ベースキャンプで重篤患者が出た場合はヘリコプターで首都のカトマンドゥまで運搬しなければなりません。
コロナウィルスが流行してしまった場合の対処がいかに難しいかわかります。
また潜伏期間があるとされるコロナウィルスですが、高所キャンプやデスゾーンで発病してしまった場合下山すら困難になりえ、非常に危険と言えます。
賢明な判断
以上、エベレスト登山で新型コロナウィルスの危険が懸念される事項をいくつか推測しました。
中国、ネパール政府とも3月の時点でエベレスト登山の中止を発表しましたが、賢明な判断であったといえます。
今回は以上です。
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