ネパール政府 2020年秋季エベレスト登山を許可

2020年3月春季のエベレスト登山は、中国側、ネパール側の両政府が中止を発表しました。

7月31日ネパール政府は秋季のエベレスト登山の再開するとの発表をしました。

これによりエベレスト秋季の登山が認めれる可能性がでてきました。

ネパール当局は7月31日、秋のトレッキングや登山シーズンに向け、世界最高峰エベレスト(Mount Everest)などを含む登山を再開すると発表した。(参考:サイト

エベレストベースキャンプはエベレスト登山の基地となる
【写真】2020年秋季のエベレスト登山は行われる可能性がある

エベレスト登山は春と秋

エベレスト登山に最も適しているのは春と言われています。

それは近年のエベレストの渋滞を見ても分かりますが、春はエベレストの登頂確率が高く、山頂に立てる可能性が高いことを示しています。

エベレスト登山をサポート、ガイドしてくれるのがシェルパ
【写真】エベレストは春季の登頂率が最も良い

エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイによるエベレストが初登頂された1953年も5月29日と春の時期でした。

毎年増加するエベレスト登山隊もほぼ春に行われます。

登頂できませんでしたが、世界の果てまで行ってQのイモト氏が挑戦したのも2014年の春でした

一方でエベレストの登山期は秋にもあります。

しかし秋の登山者は春に比べて少ないため、あまり話題に上ることはありません。

今回ネパール政府が許可の可能性を示したのはエベレスト秋の登山です。

ネパール側のみか?

エベレストは春と秋に登山の機会が訪れます。

エベレストは中国とネパールの間にある山でネパール側から登るのか、中国側から登る二通りが考えられます。

エベレストの登頂率はネパール側が高いとされています。

季節との組み合わせると、春にネパール側からエベレストに挑むのが最も登頂できる確率が高くなります

今回はネパール政府が登山再開の発表をしたのですが、中国側では何も発表をされていません。

今後中国政府が秋のエベレスト登山の再開を発表するか注目があつまります。

新型コロナウィルス、ネパールの状況

2020年3月以降、世界で増加している新型コロナウィルス感染者ですが、ネパールでも例外なく感染者が確認されています。

下の図はグーグルが発表しているネパールの新型コロナウィルスの感染者数の推移です。

ネパールの新型コロナウィルス感染者数推移
【写真】ネパールの新型コロナウィルス感染者数推移

7月31日の時点では19,771人が感染し、死者56人となっています。

同日、日本では37,778人が感染しております。

日本の人口は1億2千万に対して、ネパールの人口は2800万人なので日本と人口比率からすると多い感染者数と言えます。

しかし感染者は多いのですが、死者は少ない水準となっています。

2020年8月の時点では世界の感染者数はアメリカ、ブラジル、そしてインドですが、

ネパールはインドと隣接しており、両国の交流は強いのでインドの影響を受け、今後感染者が増加することも考えられます。

エベレスト登山が危険なわけ

エベレスト登山は人里離れた5300mから登山が開始されるので、新型コロナウィルスの感染の危険を危惧する必要がないかと思われますが、仮に登山者や関係者にコロナウィルス感染者がいた場合は非常に危険といえます。

理由は

・狭いテントで共同生活

・衛生状態が最適ではない

・万が一疾患した場合、対処ができない

などがあげられます。

【写真】エベレスト登山の基地となる標高5300mのベースキャンプ。

エベレスト登山は通常4週間以上かかります、その間の生活は簡易テントで営まれるわけですが、複数人が寝食を共にします。

完全に密閉空間で複数人が生活すると、感染しやすい3密状態は避けられません。

換気を大事にするといっても、毎晩氷点下まで下がる気温の中では換気は冷気をいれることになるので難しくなります。

地上であれば、手洗いやシャワーで身体を清潔に保つことができますが、エベレストベースキャンプでは水は雪や氷を溶かしたものを利用したり、近くの水流から水を汲んできます。

地上の日常生活に比べて格段に使える水の量が少なくなります。

新型コロナウィルス感染防止のために手洗いは重要といわれていますが、手洗いがマメにできる環境ではありません。

そして万が一コロナウィルスに感染した場合、簡易な診察所はありますが、人工呼吸器など専門的な道具はないので重篤な患者はヘリコプターなどで搬送する必要が出てきます。

以上の理由を見ると、新型コロナウィルス禍中のエベレスト登山の危険性が見えてきます。

ネパールにとって登山は重要産業

国土のほとんどが山岳部で占められている小国ネパールにとって、登山客が及ぼす経済効果は非常に大きいものです。

ネパール政府はエベレストの登山を許可するのに入山料を課しますが、これが登山者一人当たり1100ドル、およそ120万円です。

つまり登山者が多ければ、多いほどネパール政府にとって大きな収入となるわけです

【写真】エベレスト登山にはシェルパ・ガイドが不可欠な存在である

またエベレスト登山に関係する、ガイド、シェルパにとっても多きな収入源となっています。

従って、ネパール政府が経済を回すためには、海外からの登山客を呼び込む必要があるわけです。

毎年秋季の登山客は少ないのですが、それでもエベレスト登山を再開することで登山関係者たちは救われるというわけです。

2020年秋季のエベレスト登山はどうなるでしょうか。

今回は以上です。

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