エベレストの商業・公募隊登山が一般化し、年々その登頂者は増えつつある。
エベレストの登山隊に参加すれば、すべての人がその頂に立てるかというとそうではない、エベレストの登頂確立は大よそ30%前後といわれている。
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10人の登山隊であれば3人が登頂できるという確率になる。
しかしこれは確率の話であって、実際には10人のメンバーが10人山頂に立てることもあれば、全く登頂できないということもちろんある。
近年は登山期にはルートやノウハウが確立されて、それほど難しくないといわれるエベレスト登山。高額な費用を払い、多くの時間を費やしても登頂を断念しなければならないことがある。それではどんなケースか実体験からあげてみる。
1.体力不足、体調不良
共に自分本人による問題である。
体力不足は読んで時の如しで山頂に辿り着くまでの体力が不足している状態。マラソンでいうならば42.195kmを完走する体力がない状態。
途中で一歩も動けなくなってしまった場合などはこれに当たる。
特に山頂アタックを仕掛ける場面での体力不足は登頂を断念する決定的な理由になる。なぜなら多くの人にとって山頂タックは一度きりのチャンスであり、そのチャンスに体力切れを起こすと当然山頂まで辿り着けない。
登山はマラソンのように時間制限がないものと思われるが、エベレストのアタックに関しては時間制限が設けられる。これは一定の時間内に山頂に達して下山しなければ生命の危険にかかわるからである。
大よその目安としてはキャンプ4(標高7900m)から山頂(8841m)の高低差1000mを16時間前後で往復できる体力である。
あまりに時間がかかりすぎると8000m以上、デスゾーンに長期滞在することになり凍傷や命の危険がでてくる。
体調不良はエベレスト登山期、およそ4週間から6週間をベースキャンプで過ごす。決して快適ではないこの空間で健康状態を維持できるかどうかも重要である。
2.重度の高山病
エベレストの登頂を諦める理由として多いのが高山病である。軽度の高山病であれば高度順応により症状は軽減されるが、重度の高山病にかかると登山どころではなく下山を余儀なくされる。
軽度のものは食欲不振、頭痛などであるが、重度のものは真っ直ぐ歩けなくなる脳浮腫や、肺に水が溜まる肺浮腫などを引き起こす。
高山病になるか、ならないかは本人の体質や体調によることが多い。また生まれつき高所に全く適応できないという人もいる。
3.時間切れ
これも比較的多い登頂断念の理由である。
エベレストの登山はとにかく時間が要する。少なくとも4週間から長い時には10週間以上を費やさねばならない。
通常、仕事している人にとってはかなりの長期になる。エベレストの登頂は5月に入ってからになり、好天に恵まれないとアタック時期がずれていく。
あらかじめ航空機のチケットや、帰国後の予定を組んでいる人はタイムオーバーとなり下山を余儀なくされる。
こういったことを防ぐためにはエベレストの登山は余裕を持って望みたい。
以上は人為的な時間切れであるが、もう一つ環境的な時間切れもある。
エベレストの登山期は4月5月とされ、6月はない。なぜなら6月に入ると、ヒマラヤ山岳部の気温が上昇し、雪崩や氷壁の崩壊が始まるから。
好天に恵まれずアタック時期がずれ込むとこういった時間切れもある。
4.ルート未工作
エベレスト登山春季には基本的にベースキャンプから山頂までの固定のロープが張られる。
ベースキャンプからキャンプ2まではSPCCと呼ばれるシェルパのチームが、それ以降は先行するチームまた各隊が協力し合い、毎シーズン新たにすえつけられる。
このフィクスロープ(固定されたロープ)がエベレストの登山の困難さを軽減している。
当然ロープが張られる前の状態ではロープも無ければルートができておらず、自らで見極め、開拓していかなければならい困難な状態になっている。ルート工作前に先行した登山隊がルートを見失い下山することもある。
ロープが張られる前の状態であれば、エベレストは簡単な山ではない。
つまりルート工作、ロープが固定される前での登頂は難しいことを意味している。
山頂までルートができてから登頂に挑みたい。
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5.天候
登頂を諦める最も大きな理由として天候がある。
高度順応もした、体調も万全、ルートも山頂まである、「さて、イザ!」という時に天候に恵まれなければもともこもない。
エベレストの登山では人為的なものすべてが整ったとしても、最終的に登頂を決めるのは天候であるといってよい。
天気が荒れたら有無を言わさずに下山である。
キャンプ4(最終キャンプ)より下部での天候悪化は再び登山のチャンスはあるが、キャンプ4を出発した後の天候悪化は山頂を諦めなければならないことになる。
それは最終アタックのための酸素ボンベを消費してしまうからである。キャンプ4まで何とか山頂アタック用のボンベを準備する、アタックのためにそれを使用するのだが、天候悪化により途中で引き返すとその分の酸素を消費してしまう。こうなると天候の回復を待ち、再びアタックをする機会は失われる。
また最初に述べた「体力不足」も酸素の消費量が多くなるために登頂のチャンスが少なくなる。
まとめると
エベレスト登山の難易度は50年前に比べて格段に下がったとはいえ、まだまだ100%ではない。
自分自身の体調管理、そしてルート工作、確保ができ、なおかつ天候に恵まれれることが登頂の条件になる。
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