ネパール政府は2015年度の春季エベレスト登山のルート変更について発表した。
この変更はどの点が変更されるのかを今回の記事では述べてみたい。
エベレスト登山の基本
エベレスト登山について全く分からない人のために、まずは簡単解説。
世界最高峰のエベレストは標高8848m。位置はネパールと中国の間。中国内のチベット自治区にあるため、チベット側といわれることもある。
今回ルートの変更が行われたのはネパール側でのこと。
通常ネパール側からエベレスト登頂を目指す登山隊は標高5300mにベースキャンプと呼ばれる、基地になるテント村を設営する。そしてこの上から本格的な登山が開始する。
いいかえると標高5300mまでは本格的な登山ではなく、トレッキングと呼ばれる山歩きスタイルで行ける。標高5300mというと標高3776mの富士山よりずっと高いが山道が続いているので難しくない。
そして今回ルートの変更が行われたのは推定標高5500m~5900m地点。
なぜかと言うと2014年の春にネパールの登山ガイドが16名が死亡する、エベレスト史上最悪と呼ばれる雪崩が標高5800m付近のこの地点で起こったからである。
以下の図で見ると分かりやすい。
図ではベースキャンプからキャンプ1にかけての上部ルートが右よりに修正されているが、これが今回の変更点になる。
ベースキャンプからキャンプ1にかけては氷河が崩れ落ちている地帯で「アイスフォール」地帯と呼ばれている。詳しくはクンブーアイスフォールとは?
以下の写真は実際にアイスフォールを通過している最中のもの。
確かに登山者はアイスフォール中央部よりも左側よりを登攀しているのが分かる。
これにより何が変わるのか?
2014年度のような写真の左上部斜面からの雪崩による被害を回避できるという。しかしその分アイスフォール右側は登攀の難易度が難しくなるだろうといわれていし、最短距離ではないためにキャンプ1へのアプローチも長くなる。
以下引用であるが、
シェルパがロイターに語ったところによると、昨年の雪崩発生地点を避けるため、今年はルートが40メートルあまり右寄りになる。雪崩に巻き込まれる確率は下がるが、キャンプ地への行程は2時間ほど長くなるという。
2015年新ルートは定着するか?
いよいよ今春から新ルートの工作が行われる。今までのルートはエベレスト登山の中でも危険と呼ばれるアイスフォール左側が中心だったが、これを右側に迂回する形になる。
雪崩の危険を回避するにはよい方法であるが、実際に登山を行う者にとってどのような結果をもたらすかが気になるところである。
<関連リンク>
【エベレスト登山】簡単説明。山登りしない人でも分かるエベレスト登山。
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その1
(外部)BBCニュース(英語)
防災、キャンプでも使えるポータブル電源【PowerArQ】
ツイッターで更新、最新情報をつぶやいています。
@bikeandmagicさんをフォロー