【図+写真、山を登ったことない人でもわかる】エベレスト南西壁の難しさ。

毎年4、5月はエベレストの登山時期のためエベレストの登頂に関してのニュースが流れるがこの時期です。

今年はエベレスト登頂を目指していた栗城氏が下山中に亡くなったため、ニュースなどでエベレスト南西壁について目にする機会が多くなりました。

そこで今回はエベレストの南西壁がどのくらい難易度が高いものなのか、単純明快に山登りをしない人でも分かるようにまとめてみました。

【写真】標高6000m以上にあるエベレストの南西壁。

エベレストを登るには

エベレスト登山というとイメージがしにくいと思いますので富士山で例えます。

もし富士山に登ろうと思ったら、登り方がいくつかあります。簡単に富士山は山梨県と静岡県の間にありますのでどちらの県から登るかで距離や難しさが違います。

同様にエベレストは中国とネパールの間に位置しているので中国側から登るか、ネパール側から登るかで難易度などが変わってきます。

【図1】エベレストは中国とネパールの間にある。

近年、最も登頂率(山頂にたどり着ける可能性)が高いのはネパール側からノーマルルートと呼ばれる登り方です。

そしてまた一番難しいと呼ばれるルートもあります。それがエベレストの南西側にある壁を登るルートで、南西壁ルートと呼ばれます。

【図】南西壁ルート図

どのくらい難しいのでしょうか?

以前の記事でも書いたのですが、南西壁の難しさはスカイツリーを内部の階段を使って上るか外壁をよじ登っていくかぐらいに違いがあります。

また、もっと違った例になりますが、お手玉を3つするのと7つするくらいの違いがあるといってもよいくらいです。お手玉3つであれば練習すれば何とかなりそうですが、7つとなるとよほどの練習と鍛錬が必要になるでしょう。それでもできるかわかりません。

お手玉とは単純に比較はできませんが、何が言いたいかというととにかくものすごく難しいということなのです。

【写真】キャンプ2から見上げるエベレスト南西壁。

なぜ難しいの?

 ・階段を上るのと壁をよじ登るのはどちらが大変でしょうか。

もちろん壁です。南西壁はその名の通り岩の壁です。

【写真】キャンプ2から見上げた南西壁。

・酸素が薄いので動くのも大変。

エベレスト南西壁は標高6700m以上の高さ、3776mの富士山よりも3000mも高い場所にあります。富士山を登ったたことがあればわかると思いますが、標高が高くなるにつれて空気が薄くなります。当然、空気を構成する酸素も薄くなります。酸素が薄くなると人間は行動が遅くなったり、制限されます。

酸素ボンベを使用する場合は、その分の重み、負担が背中にかかることになります。

【写真】標高が高くなればなるほど空気が薄くなる。

・寒い。

標高が高くなると酸素も薄くなりますが、気温も低くなります。北海道の冬に旅行するにはそれなりの装備が必要ですし、寒いと動きも遅くなります。

【写真】標高7000mを超える場所は雪と氷の世界。

・他に登っている人がいない。

エベレストの登山シーズンになると多くの登山客が山頂を目指しますが、南西壁を上る人はほぼおらず、稀です。
ということで自分達でルートを工作しなければならず、時間もかかりますし労力もかかります。

逆に大勢が登るノーマルルートには登山時期にはしっかりとしたルートが工作されます。当然ルートができてれば登りやすくなります。

【写真】アイスフォール上部。上部に行くにしたがって氷塊が大きくなっているのが分かる。
【写真】自分のチーム以外の登山者がいないため自らでルートを工作しなければならない。

・落石、雪崩が起きやすい、つまりは危険性が高い。

雪があり斜面があれば雪崩が起きる可能性があります。スキー場の初心者コースよりも壁のような急斜面の方が雪崩が起きる可能性が高いと言えます。当然、岩の壁なので岩が落ちてくることもあります。

【写真】イエローバンド。後方の岸壁と比べて黄色を帯びているのがよく分かる。
【写真】急斜面はもちろん危険。

仮に南西壁が赤道付近の南国、標高の低いところにあったら難易度も下がるかもしれません。しかし実際には標高6000m以上に存在しているので大変に難しくなっているのです。

南西壁登頂の歴史

難しいエベレスト南西壁ですが、このルートを使って登頂した人がいないわけではありません。簡単ですが南西壁登頂者のリストです。

・1975年 英国隊 初登頂(参照wiki英語)

・1982年 ソ連隊 登頂

・1988年 チェコスロバキア隊 1名登頂 下山途中全員死亡

比較としてネパール側のノールルートエベレスト登頂者数は2017年だけで400人以上。この数字だけ見ても南西壁がいかに難しいかが分かります。

エベレスト南西壁
難しい南西壁。

とにかく難しい

以上の条件などからエベレスト南西壁ルートは数あるエベレストのルートの中でも最も難しいルートの一つと言われています。



エベレスト南西壁が舞台になっている「神々の山嶺」

まさにエベレスト南西壁が舞台になっているのが小説「神々の山嶺」。南西壁からエベレストの山頂を目指す一人の登山家の話。ただでさえ難所であるのに、主人公の羽生は冬季・単独・しかも無酸素でこの南西壁を目指します。

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