スイスの首都ベルンの時計台の近くを通ると、アジア人がギターを弾いていた。
ヨーロッパでアジア人の路上演奏者を見かけることは稀で、驚いたと同時に、ふと「どこの国の人だろうか?」と思う。ギターに合わせて歌っている歌は英語だ。
彼の前で立ち止まり、演奏が終るのを待った。
終ったところで彼の方も私に気が付いたのか顔をこちらに向けた。
彼のニコッとした表情をみて私は「日本人かもしれない」と感覚的に思う。
日本人は中国人や韓国人より少しやわらかいというか、はにかんだ笑顔をする。目が合った彼に
「こんにちは、日本人ですか?」
と一応英語で話しかけてみる。彼から返ってきた返事は
「Yes」
だった。
「日本人ですか?」
と今度は日本語で尋ねると
「そうですよ」
と日本語で返事が返ってきた。
それからは日本語で色々と話した、お互いどこから来たのかとかどこへ行くのだとか、路上でどこがよいとか。
彼の話はカツ君といい、日本の沖縄から出発して中国に渡り、ネパール、インド、それからパリ、モロッコなどアフリカも回ったと言いう。また寒くなって来たのでアフリカに行きたいとも言っていた。
今で旅行を始めてから4年目、その間は路上でギターを弾いて旅費を稼いでいるという。私も路上で旅費を稼ぐのだが、食費はどうにかなるが、宿泊費は厳しいので野宿も多いという話をすると。
彼もいつも野宿をしているそうだ、それにしては荷物が無いように見えたので
「荷物は?」
と尋ねると
「公園に隠してきた」
と言う、それで大丈夫なのだろうかと思うが、スイスだから大丈夫のような気がする。
日本から離れた異国の路上でギターを弾きながら旅を続ける若者がいたことに驚き感激した。
かつ君はヨーロッパでお金を貯めて再びアフリカを旅行するそうだ。少しばかりのコインを彼のギターケースに投げ込み、「また世界のどこかで!」と、その場を立ち去った。
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