前回の更新からずいぶんと時間が経ってしまい申し訳ありませんでした。
理由は単純明快でイタリアは8月はバカンスシーズンであり、休暇に入った人々が昼夜問わずに街を歩くのでそれに会わせて路上に出ておりました。
長い時には1日15時間を路上で過ごすという、まさに「寝る以外は路上」という生活になり、芸人仲間からかは「さすが日本人!」と賞賛とも皮肉とも取れる言葉を多々いただきました。
9月に入り、人通りも収入も激減したので今までどおり筆をとった次第です。
「大丈夫ですか?」
と連絡を下さった皆様。
本当にご心配をおかけしました。
本人は無駄に元気です。
それでは遅れ気味の日記を追いつくように奮闘したいと思います。
レッチェの街の居心地の良さに負けて、ダラダラと滞在しているところ、懐かしい人から連絡を貰った。
「懐かしい」というものの実際会ったことはない人なのだが、2年程前に何度か連絡を取り合った若者。
当時彼は世界一周を行っている最中でその道中ハンガリーの宿アンダンテの社長を通じて知り合った。
どうして社長が私と彼との仲を取り持ったかと言うと彼らが芸をしながら世界旅行をしているからだった。
当時の彼らは路上で音楽を演じてその収入で旅行をしていた。
つまりバスカーである。
(英語圏では路上で芸や音楽を奏でてお金を貰う人のことを「バスカー」と呼ぶ。これはスペイン語の「Buskar(捜し求める)」が語源。
ともっともらしいことがネット上の時点ウィキペディアに書いてあったので引用)
と言う話が2年前にあり、「タイミングが合えば世界のどこかで!」という話になっていたのだが、私の動きが亀のように遅く、自転車でノロノロと意味不明の徘徊をしているので出会えなかった。
そして彼は無事にバスキングで資金を調達しながら世界一周をして日本に戻った。
「あ~こりゃ会うのは日本に戻ってからだな」と思っていたら、何を思ったか彼は再び世界をバスキングで回ると宣言し日本を飛び出ていた。
「むむっ、今度は近場を通るだろうか?」と彼の動向を見守っていると、しばらくしてヨーロッパのパリにいると連絡があった。
そんな彼から「イタリアに向かう予定がある」と。
まぁイタリアと言っても普通はローマから北のフィレンツェやベネチアがメインスポットなのでこんな「かかと」の最果ての地を訪れることはないだろう、「また次回か日本か」と思っていたところ、
「かかとに向かいます!」
との連絡が来た。
レッチェの街は「最高!」などと前回の日記で書いていたが、ハッキリ言ってそれは私にとってである。
彼らが来ても有名な見所はなけりゃ世界遺産もない。
もし私に会いに来るといっても、いい年した住所不定無職のおっさんに会いに来ても彼らにとってなんの啓蒙にもなりゃしない。
と少し返事を躊躇していたら次のメールで
「電車のチケットを取りました」という連絡がきた。
あわわ。いざ日本人に訊ねてこられるとプレッシャーである。
それも偶然出遭ったならよいのだが、わざわざ足を運んでもらうのだ、少し申し訳ない。
しかし彼らは既に電車のチケットを買ってしまったし、電車の時間も決まっているようだ。
当日嬉しい反面、「いいのかなぁ」という念も混ざった複雑な気持ちでレッチェに駅に向けて自転車を走らせた。