ベースキャンプを発つと待ち構えているのがアイスフォール。
エベレスト南東稜登山の最初の難関であり、危険地帯でもある。
アイスフォール(氷の滝)の意ではあるが、ここは凍った滝ではなく、氷が滝のように崩れている。
アイスフォール
エベレスト、ローツェ、ヌプツェに囲まれているウェスタンクームの谷に流れこんだ雪が氷河に変わり、その氷河が谷の出口に押し出されたものが自身の重さで崩れ落ちている。そこがアイスフォールになっている。
アイスフォールは言ってみれば氷河の崩壊部分なのである。崩れ落ちている部分なので大小の氷の塊が秩序なく存在している。
大きいものになると一戸建ての家、小さいものではサッカーボールや野球のボールくらいのものまで、大きさにも秩序がない。
その混沌の中を抜けていくのがエベレスト登山の第一歩だ。
1953年のエドモンドヒラリーの初登頂以前はアイスフォールは通過不可能だと考えられていた。しかし彼らは通過し登頂した。それ以来アイスフォールの登攀は試行錯誤された。
現在ではSPCC(SAGARMATHA POLLUTION CONTROL COMMITTEE)と呼ばれる組織がアイスフォール内のルートを工作してくれる。
主な工作はクレバスにアルミのはしごを渡し通過できるようにする。
アイスフォールにあるキャンプ1までのルートすべてにフィックスロープを設置。
などである。これにより登山者はクレバスを迂回せずに進め、フィックスロープによりルートを間違えることがなるなる。
もしこれらの工作がなければ、迷路のように入り組んだ氷塊の間を抜けていくのに大変な労力が必要になるだろう。クレバスを迂回しなければないとなると更に甚大なエネルギーを消費することになる。
SPCCによりルートは毎年工作されるのだが、アイスフォールでの事故は以前として多い。それは氷塊の崩壊が予測できないからだ。
アイスフォールを抜けるにはどうしてもいくつかの危険ポイントを通過せねばならない。それは大きな氷塊がせり出した下や、今にも倒壊しそうな氷壁の側などだ。
それらがいつ崩れて落ちてくるかは誰も知らない。どんなにルートが整備されていようが、崩壊の現場に居合わせてしまっては難を逃れないだろう。
難を少なくする方法は二つ。氷の溶解が進む気温になる前に通過する。そこに滞在する時間をみじかくすること。
それ故に登山隊はキャンプ1を目指し、日の出前に出発する。少しでも気温の低い時間にアイスフォールを通過したいから。
そして危険箇所では走ることは出来ないが少しでも早く、一息で抜けるようにする。
こうして標高差700mのアイスフォールを抜ければ次はウェスタンクームだ。
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