【エベレスト登山】2014年中国人女性がヘリコプターを利用し南東稜から登頂。

 2014年4月18日、ネパール側ではエベレスト登山史上最悪と呼ばれる雪崩事故が発生。これによりルート工作など行う現地ガイドのシェルパ16人が亡くなった。

 この事故を受けてシェルパ達は2014年度のネパール側からの登山の中止を決定、この時期エベレストを目指していた登山隊も登山を中止した。

 日本からは芸能人であるイモトアヤコ氏、なすび氏、元F1ドライバーである片山右京氏が山頂をめざしていたが、いずれも撤退をすることになった。
 ところが

 すべてのシェルパが登山を中止したわけではなかった。

【写真】西の谷から見上げるエベレスト南西壁。
【写真】標高6400mキャンプ2手前、西の谷から見上げるエベレスト南西壁。

 2014年5月26日

中国人女性がエベレスト今季初登頂者に、ヘリ利用で記録は未定

というニュースが配信された。

 このニュースによると中国人女性、王氏は本年度のエベレスト登山を諦めず、標高6400mのキャンプ2までヘリコプターで向かい、そこからシェルパ5人と登山を開始、5月23日の夜にエベレスト山頂8848mに登頂したとのこと。

 これはどういうことか少し解説を加えたい。

 4月18日の雪崩が起こったのはベースキャンプ標高5300mからキャンプ1標高5900mの間。ここはアイスフォールと呼ばれる氷河が崩壊している場所でエベレスト登山においての一つの難所とされている。

ベースキャンプからアイスフォールを抜けてキャンプ1へ。
【図解】ベースキャンプからアイスフォールを抜けてキャンプ1へ。(クリックで拡大)

<関連リンク>
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その2 ベースキャンプからキャンプ1。

 雪崩が起きなければこのアイスフォールにはシェルパ達によりルートが工作され、登山隊はそのルートを利用し登山を行う。ところがこのルート工作を行うシェルパの多くが雪崩により犠牲になったので、ルート工作が難航することになった。

 またシェルパ族の人々は信心深い為、慰霊の意味もこめて本年の登山中止を決めた。

アイスフォールに更に近づいた様子。
【写真】アイスフォールに更に近づいた様子。

 王氏はこの事故の起こったベースキャンプからキャンプ1を通り越え、標高6400mのキャンプ2までヘリコプターで向かったというのだ。

 難所であるアイスフォールはルートがないので飛び越え、キャンプ1からキャンプ2までの間にあるウェスタンクームと呼ばれる巨大クレバス地帯も飛び越えたことになる。

【図解】キャンプ1からウェスタンクームを経てキャンプ2へ。
【図解】キャンプ1からウェスタンクームを経てキャンプ2へ。
【写真】クレバスを渡るために繋がれた橋をわたる様子。
【写真】巨大クレバスを渡るために繋がれた橋をわたる様子。
<関連リンク>
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その3 キャンプ1からキャンプ2。

 このヘリコプター移動により、通常はルート工作が必須であるキャンプ2までのルート工作の必要がなくなったというわけである。

 ここが物議をかもし出しそうなポイントになっている。

 登山というのは自らの足で登ることに意味があるのではないか?という登山そのもののあり方を問うような疑問。

 極論になってしまうが、標高8300mポイントにヘリコプターで着陸し(ヘリコプターで8000m以上に向かうのは現実的に難しいが)、残り100mを登って登頂となるかということになる。

 ネパール観光省は王氏を

王さんは、ネパール側からエベレストに到達した今季初の登山家だ

との見解を示しているが、これはエベレストの登頂として認められるのだろうか。

 2013年度に三浦雄一郎氏がキャンプ2から下山して話題になったが、今回は前代未聞キャンプ2までヘリコプターで上りそこから登頂である。下山も言うまでもなくキャンプ2からはヘリコプターであろう。

 この事例の取り扱われ方によっては今後もエベレスト登山をキャンプ2から開始する登山者もでてくるかもしれない。

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(外部)中国人女性がエベレスト今季初登頂者に、ヘリ利用で記録は未定
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