ティプさんとチャーさんの所はあまりに居心地がよく出発したくない思いに駆られる。
皆が「あと一週間いろ」だとか「1ヶ月いろだとか」「ずっといろだとか」誘ってくるのだが、「出発する」と宣言していたので「こりゃ行かねば」と後ろ髪を引かれながらも午前中に出発する。
海岸線に一番近い道を通って行ったのだが、海岸から外れて山道に入る。
今度の山はかなり急斜面で、押して登るはいいが、下りも足ブレーキではスピードがゆるまず、下りも自転車を降りて今度は自転車を引きながら下る。これが結構大変だったりする。
山道は上り下りがあり進みが遅いけど合間に点在するビーチがとても綺麗に見えた。
人影もまばらで静かで、海の色は今まで通過したどんなところよりも青く透き通っていた。
しかしビーチに一人で行っても何だか虚しいので写真を数枚撮って寄らずに進む。夕暮れ近くに、やっと山道を抜けた。
海際に並んだやしの木からオレンジ色の光が差してくる「夕暮れだ!」。
この綺麗な海に沈む夕日はきっと幻想的に美しいに違いないと海岸に向かう。今度は山道ではないが未舗装道を走る。
夕日が沈みそうだったので無理をしてかなりの勢いでガタガタ道を飛ばした。しかしやっと浜辺に出た時、既に太陽の姿はなかった。
「なんだせっかく、飛ばしてきたのに」
と肩を落としながらガタガタ道を戻る。
どうも自転車の様子がおかしいのであちらこちらを見ると後輪タイヤのスポークがポキポキ数本と折れている。
夕日を見ようと悪い道路を飛ばしたからだ。
スポークが折れたためにタイヤの張りバランスが崩れて変に歪んでいる。タイヤのゆがみを直すのは結構大変な作業だ。舗装道路に戻っても自転車はガクガクと左右にぶれる。
「こりゃ、大変なことになっちゃったな」
辺りが暗くなり始めた。ガソリンスタンドも無いのでサラン(タイにある小さな休憩小屋)を見つけそこで横になる。
今日は山道が多かったせいかずいぶんと疲れた。昼間の海は綺麗だったけど、夕日は逃すし、タイヤは歪むし散々だ。
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