ナコンシータマラート市に夕暮れ時やっと到着、今日はここで寝ようと街に入りガソリンスタンドを探す。
この街にはガソリンスタンドが沢山あり、その中から「エッソ」を選び、店員さんに
「ここで寝かせてもらえないですか?」
と尋ねる。

オッケーを頂き、しかも外に置いてある木のベットで寝てもいいよと案内してくれた。
「おお、今日はついてる!」
とそのベットの上にマットを敷いていると、先ほど私を案内してくれた店員さんともう一人別の男性がこっちにやって来た。
その男性は英語が話せるらしく、ニコリとして話しかけてきた。最初は特に変わったところはなかったが、彼の携帯電話が鳴っ時
「ちょっと待ってね」
と言った彼の仕草が何となく女性的な感じ。
「もしや・・・・」
よく見ると、携帯電話を出したカバンも女性が使うハンドバックだ。
「もしかして・・・おかまさんじゃないだろうか」
そう思って彼を見ると、電話で話している仕草はもはや男性ではなかった。
電話が終わり、彼が
「ここじゃシャワーが浴びられないから家に来ない?」
と誘ってくれる。
「むむっ、嬉しいが・・」
一抹の不安が頭をよぎる。しかし彼は決して強引でなく、穏やかな感じ、無理はしない様に見えたのでその誘いにのることにした。
「ありがとう」と喜んで彼のバイクの後ろにまたがる。
彼の腰に捕まるのは何か得体の知れない抵抗を感じたので、後ろのテールランプをしっかり掴んだ。
バイクは街のメイン道路を外れ郊外の方に向かう。彼が言うには彼は友人と一緒に住んでいるとのことだ。
私を乗せたバイクは町を抜けて郊外の長屋の様な家の前で止まった。どうやら連なっている家の一室を借りているらしい。
案内されるまま家の中に一歩足を踏み入れると目に入ってきたのは、胸までバスタオルを巻いた、明らかに男性。
「怪しすぎる・・・」 と思ったものの「きっと、友達もおかまさんだろうと」と予測していたのでそれほど驚かなかった。
更に奥に入ると、中にはもう一組カップルがいた。
明らかに見かけは男性同士だけど、なぜか隙間なくピッタリとくっついている。
そして、一番ビックリしたのが、黄土色の袈裟をまとったお坊さんがいるではないか!
しかも若く、あどけない顔をしている。
「なぜですのー?」とつっこみたくなったが、ここは一つ冷静に、心を落ち着け
「サワディカップ(こんにちは)」
とにこやかに挨拶すが、心の中ではうけていたのでかなりニヤケ顔だったかもしれない。
彼に案内されるままにシャワーを借りた、私がシャワーから出てきても、男同士のカップルはずっとピッタリとくっついたままである。
先ほどバスタオルをまいていた男性とお坊さんがなんだかほんわかいい感じに包まれている。
「カップルに違いない」という雰囲気だ。

お化粧をしたおかまさんと袈裟をまとったお坊さんが話している風景は端から見ていて不思議な光景だったが、何故か世界平和を感じた。
先ほどここまで連れて来てくれた彼が
「もう今日はここに泊まっていきなよ」 と言ってくれる。また一瞬「むむっ、大丈夫だろうか」という考えが頭をよぎったが、彼は決して無理強いはしない。というわけでお言葉に甘え、今日はここで寝させてもらう。
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