インドは観光地を抜けると人が急に親切になる気がする。
観光地では目をギラギラさせたインド人が寄ってくるが田舎ではそんなことがない。
なんでこんなに親切なのかと思うことが良くある。
今日も自転車の荷台の部分が割れてしまったので鉄工所で「溶接」をお願いした。
今までの経験から「溶接」を願いすると10ルピーという相場が分かっている。鉄工所のおじさんは余計に手厚く溶接してくれたので、余分にお金を出すと「いらない」と言う。
「どうして?」
と渡そうとすると、
「いらん、いらん」
と仕草をする。観光地では観光客から1ルピーでも巻き上げようとする人がいるかと思えば、田舎ではこういう人もいるのだ。
観光地でインド人に騙されたり、ぼったくられた人を見かけたが、悪さをするのは観光地のホンの一部の人で大半の人は優しい人ばかりだ。
観光地ばかり渡り歩くと近づいてくるのは「下心」のある人ばかりで、「なんだインドは騙そうとする人ばかりだ」と思ってしまうだろうが、決してそんなことはないく、ローカルの人々は純朴でやさしい。
自転車旅行をしていると、そういった観光地以外の人に触れ合う機会の方が多く、それ為かその国の印象が他の旅行者と異なることも多い。
ところで今日は大晦日だ、日本にいるとなんとなくせわしい雰囲気を感じるものだが、ここインドでは日常となんら変らない気がする。
それは人々の忙しそうにする姿や、正月の飾りつけを見かけないからだ。相変わらず村人はゆっくりといつものペースで歩き、チャイ屋も店に飾り付けの一つもない。日時を忘れていたら、「うっかり」年を越えてしまいそうなほどだ。
私は一昨年はマレーシア、昨年はバングラディシュ、今年はインド、来年はどこだろうか? などと考えながら自転車を漕いでいた。
舗装状態のよい国道28号線を進んでいると、いつの間にか今年最後の太陽が背中に沈んだ。日本との時差は3時間なので今頃日本では紅白歌合戦真っ最中だろう。
年が明けても周りに「あけましておめでとう」といえる人はいないのが少々寂しい。